旦那の居場所  

居酒屋のおやじを夢みて



居場所 4k


女将のダンナは「惣菜管理士」というあまり知られていない資格を持っている、 ただのサラリーマン。とにかく大の料理好き!・・で、このお店を間借りさせて あげることにしました。名づけて「ダンナの居場所・・居酒屋のおやじを夢見て」
これからも色々な素材を取り上げていきますのでお立ち寄りください。


盛り塩、打ち水、木の格子。敷石、玉砂利、ししおどし。引き戸をあければカウンター。 ここは、住宅街の駅前・・はずれ。「お帰りなさい」なんて野暮な言葉はかけないで。 料理の手は休めず、「いらっしゃい」やさしい目だけが笑ってる。居酒屋のおやじを夢見て、 今日も食を愛で、食を楽しむ・・ダンナの居場所。

その第7回は・・・・

  豚バラ礼賛  

田のラーメン「二郎」のチャーシューはバラ肉だったな。この店ではチャーシューとは呼ばずに 「ブタ」と言った。この店のご主人、「二郎のおやじ」こと山田拓巳氏には、高校時代から世話 になっている。酒の好きな人で、誘えばまず来る。つまみを差し入れて!と頼めば、この豚を 2〜3本持ってやってくる。麻薬のようなうまさ。ラーメンにのせてもいいが、ビールにもよ くあった。酔っても必ず年季の入ったタコイトをくるくると巻いてポケットに入れて帰るのが 印象的だった。ラーメン屋のチャーシュー(実は煮豚だが)、作る方にもこだわりがあるし、 食べる方にも好みがある。バラ肉、、もも肉など素材もまちまち。焼豚については、別途 に礼賛するとして、今回は「バラ肉」を少しつまみ食いしたい。


● ● ● ● 「豚バラとの出会い」 ● ● ● ●

供の頃、中華料理を食べに行くと、決まって一番心待ちにしていたもの。それは、豚の三枚肉 の煮付けだった。あのやわらかさ、後でわかったが「五香粉」の独特の香気、濃厚な醤油ベース のソース。きっとこれは近所の肉屋さんでは売っていない、超高級なお肉に違いないと信じて いた。(我が生家では、お肉屋さんにおつかいに行くとき、豚肉といえば決まって「豚コマ」 なるものを買っていたので・・) 高校生になって、豚の角煮をどこかの居酒屋ではじめて食べたとき、これは和風仕立てのあの 料理に違いないと一人合点した。分厚い塊の豚のバラ肉、100g90円から、銘柄豚でも 180円くらいまでか。ああ、安くてうまい。うれしいかな、豚バラ・・。


● ● ● ● 「豚バラうまさの秘密」 ● ● ● ●

身と脂肪が層をなしている。そのせいか風味とコクに富み、塊のままかぶりつけば、絶妙な 食感がある。きめは粗いが硬くはなく、ジューシーさがたまらない。豚肉の香りを一番感じる ところだ。元来肉の香りとか、風味なるものは、脂肪によるところが大きいと思う。鶏の皮で 作った鶏油(ジーユ)などはその好例だ。 この脂肪が適度に、しかも交互に入る豚バラ肉はだからおいしい。香しい脂肪のアロマ、 好ましい汗の臭いとでもいうか。まさにベーコンや、煮込みなどには打ってつけの素材。 もちろん、ヒレは言うに及ばず、ももやロースよりもカロリーは高い。 スライスを求める時も、ももやロースでなく、ついバラスライスを買ってしまう。その理由は、 まず値段が安い。 どの加熱方法でも硬くならない、他の材料に適度な脂(風味)と旨み(コク)を与えてくれる。 だから、野菜炒め、お好み焼、ソース焼きそば、・・やっぱり、バラ肉でなければならぬ。


  ホントにおいしい・・「豚バラ」にあうあの料理  



 我が家での冬の定番料理。疲れが抜けて、身体が芯から温まる。 仕込みは簡単。あとはじっくり煮込むだけの「あっさり和風ポトフ」

5k 「あっさり和風ポトフ」
たまねぎ、にんじん、大根、じゃがいもは大きめに切る。 豚バラの塊は、熱湯でゆで、アクがでたら、水洗い。 今度は、水から、野菜、かたまり豚バラを入れてただ煮ていくだけ。 じゃがいもは崩れやすいのであとから。ローリエを入れて臭み抜き。 バラ肉が柔らかくなり、深い味のスープになれば出来上がり。 調味は最後に、塩、胡椒のみ。理由はわからないが、バラ肉は最初から 一口大に切るより、食べる前にとりだし 切り分けた方がおいしい。


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沖縄の豚肉文化、鹿児島の豚肉文化、豚肉の食べ方は九州以西の文化でもある。 豚の角煮の原型は、長崎の卓袱料理、さらに溯れば、中国は北宋時代の東坡肉(トンポウロウ)に通じる。 六本木の中国料理の名店、新北海園の飲茶、豚肉の蒸し物は抜群のうまさだ。 スペアリブあり、豚足あり。バラの塊を使い家庭で再現して楽しんでいる。 「豚バラの醤油煮込み」


9k 「豚バラの醤油煮込み」
豚バラは、フォークでぶすぶす刺して味を染み込みやすくする。醤油、酒、みりん、しょうが、 ねぎ、ハチミツの合わせ調味料につける。 フライパンでこんがり焼く。合わせ調味料とともに、深皿に入れて、 蒸し器でじっくり柔らかくする。 好みで「五香粉」または「八角」などで独特の香り付け。 豚バラは、中国語で「五花肉」「軟五花」。よく使われる素材である。


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赤坂四河飯店で鍋を振る中国料理のエキスパートに回鍋肉を教えて頂いたことがある。 意外だが、豚バラの塊は茹でて余分な脂を抜いてしまう。「回鍋」とは本来一度煮た材料を更に鍋で調理すること。 こうすることで、味噌の味がのり、野菜との旨みがからまって、バランスの良い完璧な回鍋肉になる。 プロの仕事、工夫、技に脱帽。 「回鍋肉(ホイコーロー)」


7k 「回鍋肉(ホイコーロー)」
バラ肉は塊のまま、中まで完全に火が通るまで茹でて薄くスライス。 キャベツ、にら、長ねぎはざくぎり。好みでピーマンも。 鍋に湯をわかし、キャベツを湯通し、ざるにあける。 中華鍋をカンカンに熱し、肉を香ばしく炒め、弱火にして、にんにく、しょうが 豆板醤、甜麺醤を入れ、さらに香りを出す。再び強火にして、ねぎ、キャベツ、にらを入れて 醤油、酒で味をととのえ出来上がり。 使いやすさ、色のよさから豆板醤、甜麺醤は味の素のCOOK DOブランドがおすすめです。 時間がない!、面倒!の節はCOOK DO「回鍋肉用」だけでも、もちろんGood!



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旦那の居場所、今回は「豚バラ」のおいしさについてでした。 当然うまいので、お好み焼きや、焼きそば、野菜炒め、常夜鍋に沖縄料理の面々などは割愛しましたのでご勘弁。 また、スペアリブ(骨付きバラ肉、排骨)も、これまた、あまりにうまいので、いつの日か 別途礼賛したい。

旦那の実家では、牛、鶏に比べ圧倒的に豚肉が食卓にのぼることが多く、 豚肉好き、経済的な都合も相俟って、肉じゃがどころか、スキヤキまで、豚バラ。 本来、スキヤキは牛肉料理だと悟ったのは中学生になってからのことでした。 中国では紀元前2000年以前から豚が飼育されていたというから驚きです。 ビタミンB1に富み、にんにくと一緒に食べると効率的に摂取できるようです。

豚バラブロックなるパックがスーパーに並んでいると、どう料理するかあてもないのに、女将の目を盗んでそっとカゴに忍ばせてしまう というから、豚バラの魅力とはなんとも不思議なものです。

98/11月



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