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鍋にまつわる思い出は枚挙に暇がない。学生時代、柔道部の合宿所で、他部の友人を
招いて行う鍋大会。時に相撲部に伝わる特製ちゃんこ等、客人から教えられた味も多い。 蓋を開けると立ち上る湯気。冬の鍋には日本人に生まれて良かった。と唸らせる滋味がある。
● ● ● ●冬の鍋うまさの秘密
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寒さと共に素材が本当にうまくなる時期、気の合う仲間と鍋を囲めば、いつしか「おしくらまんじゅう」をしている
様なしみじとした連帯感が広がる。 梅が香り、桜がほころぶ季節になっても、しんしんと堪える花冷えの夜には、これまた鍋が良く似合う。 新しい季節の訪れを感じさせる、命の息吹を鍋にたっぷり放り込めば、眠っていた身体が目覚めるほどの
香りとほろ苦みを楽しめる。 初対面でも「それでは自家箸で。」なんて一言断れば、もう気分は親戚同然だし。 家族団らんを絵に撮れば、もう鍋を囲む姿しか想像できない。
「すきやき」「しゃぶしゃぶ」でなく、「ちゃんこ鍋」や「ねぎま鍋」などつつく男女を見たら、 差しつ差されつ、それはもう「疑わしきこと、羨ましきこと、甚だしい」雰囲気となる。
全国津々浦々、数多ある鍋の中で、記憶に残る鍋のうまさ。それは必ず、一緒につついた誰かの 笑顔と重なる忘れられない、懐かしい懐かしい舌の思い出だ。
● ● ● ●冬が嬉しい、春が待ち遠しい、うまい鍋たち
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6年振りに東京で過ごす冬。人形町のねぎま鍋、よし田のかも鍋、新三浦の水炊き
ちゃんこ川崎のちゃんこ鍋、神田のあんこう鍋・・。財布と相談すれば、とても一冬では回りきれない。 その上全国各地でうまい鍋が僕を呼んでいる。ふぐ、かき、アラ、ぶり、鮭、カニ、鯨、・・はてさて、どうしたものか。
人生先は長いから、今年はいけるところまでで、まあ良いか。 初春の素材もまた楽しみだ。菜の花、ふきのとう、蕗、せり、みつば。変哲もない寄せ鍋を彩る春の香り達。
さっと火を通す度に鼻孔から春を感じる幸せ。美しい日本の季節に、彩りを添えてくれる、うまい、うまい鍋たち。
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