居場所 4k

女将のダンナは「惣菜管理士」というあまり知られていない資格を持っている、 ただのサラリーマン。とにかく大の料理好き!・・で、このお店を間借りさせて あげることにしました。名づけて「ダンナの居場所・・居酒屋のおやじを夢見て」
これからも色々な素材を取り上げていきますのでお立ち寄りください。


盛り塩、打ち水、木の格子。敷石、玉砂利、鹿おどし。引き戸をあければカウンター。 ここは、住宅街の駅前・・はずれ。「お帰りなさい」なんて野暮な言葉はかけないで。 料理の手は休めず、「いらっしゃい」やさしい目だけが笑ってる。居酒屋のおやじを夢見て、 今日も食を愛で、食を楽しむ・・ダンナの居場所。
その第28回は・・・・

納豆礼賛

も愛する食材、それは納豆をおいて他にない。 小学生の頃、毎朝納豆をおかずにごはんを食べた。たまさか納豆の無かった日には、 親友に決まって「今日納豆食べてこなかったでしょう?」と指摘を受けた。 彼に言わせると、納豆を食べない日は、朝の表情が違うと言う。 最近では、納豆も、臭いや味のマイルドなものが増えている。スーパーの店頭では なかなかに満足いくものが手に入らす、母の実家「水戸」からケースで取り寄せている。

● ● ● ●納豆のうまさの秘密 ● ● ● ●

豆のうまさは、あのネバネバにある。混ぜ方がすべてを決する。手に合うサイズの安定感のある鉢に入れたら、 箸でひたすらにかき混ぜる。混ぜれば混ぜるほど、糸が出る。この糸、混ぜる事に細く、短く、数が増す。 だんだん固くなり、持ちにくい容器では力負けしそうになる。醤油や芥子は混ぜながら少しずつ入れる。 糸はやがてネバに姿を変え、あの独特の風味が倍加する。 こうして、申し分のない納豆ができあがる。好みでいろいろなモノを加える時も、まずはここまで混ぜることが大事。 豆の大きさ、固さ、豆そのもの味や、発酵による臭いや味の強さなど、納豆の味を決める要素は単純ではあるものの、 「これぞ」と思うものを探し当てるには時間がかかる。夏は発酵が早いので、食べるタイミングには冬より気を使う。 故に印象として「納豆」は冬の食べ物。もちろん、ちょっと発酵し過ぎのものも、風味が増してまた良いもの。 原料の大豆からは想像もできない程、うま味に富み、風味に豊かな納豆。これもすべては納豆菌さんのおかげです。 ああ、本当にうまいかな、納豆。

● ● ● ●納豆の持つ郷愁 ● ● ● ●

学時代の学習塾の恩師から、子供の頃納豆売りをして家計を助けていた話を聞かされた。 北海道の貧しい炭坑で生まれた人だった。「秘密のアッコちゃん」のエンディングの曲にも、「納豆売り」 が登場するが、文京区に生まれ育った私にとっては、この「納豆売り」だけは未だ遭遇したことがない。 戦後間もない北国の寒い冬の朝、少年が納豆を売り歩く姿に思いを馳せると、素朴な納豆の味にもなにやら郷愁を感じてしまう。

 



・・家庭でもほんとにおいしい、納豆料理アレコレ・・

納豆はやはりご飯との相性抜群。そのまま温かいご飯にかけるも良し。 お茶漬けや雑炊もおいしい、炒飯に入れれば、より風味が引き立ち食欲をそそる。 ご飯の上に納豆を載せ、ドライカレー(カレー礼賛参照)の様に具の小さいカレーをかける。 生卵をぽんと入れて、かきまぜながら食べれば、あまりのうまさに悶絶してしまう。 飲んだ後の締めには、納豆のうま味で楽しむ「納豆雑炊」をお勧めしたい。

「納豆雑炊」

鍋にお湯を沸かし、ご飯を入れ、丁寧に炊いていく。 味付けは、酒、みりんが少量に、ほんだしがベース。塩で味を調える。 具はシンプルに。ねぎの小口切りがベスト。 基本に忠実に丁寧に混ぜた納豆を半量入れて、味と風味をつけていく。 火を止める間際に食感のための残り半量の納豆を入れて完成。


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彩りと食感の変化を楽しみながら、酒の肴に楽しむ納豆。 は料理をおいしくする基本の5色。 納豆のネバの主成分ナットウキナーゼは、血栓を溶かすパワーを持った酵素。 寝ている間に出来やすい血栓。朝より夕に食べるのが効果的。 「納豆食べたから」を理由に、お銚子もう一本飲んじゃおう。 箸休めにならない程うまい「五色納豆」。ねばってもお箸は舐めないでね。

「五色納豆」

材料はずべて小さな賽の目。納豆の粒より小さめに切る。 赤は、まぐろの造り。白は大根、蕪の漬け物やイカの造り。 黄はたくあんや瓜の古漬け等。黒は焼き海苔、緑は胡瓜やオクラ等。 大根や胡瓜は生でなく漬け物を使うこと。 よく混ぜた納豆の上に五色のトッピング。よく混ぜて食べる。