居場所 4k

女将のダンナは「惣菜管理士」というあまり知られていない資格を持っている、 ただのサラリーマン。とにかく大の料理好き!・・で、このお店を間借りさせて あげることにしました。名づけて「ダンナの居場所・・居酒屋のおやじを夢見て」
これからも色々な素材を取り上げていきますのでお立ち寄りください。


盛り塩、打ち水、木の格子。敷石、玉砂利、鹿おどし。引き戸をあければカウンター。 ここは、住宅街の駅前・・はずれ。「お帰りなさい」なんて野暮な言葉はかけないで。 料理の手は休めず、「いらっしゃい」やさしい目だけが笑ってる。居酒屋のおやじを夢見て、 今日も食を愛で、食を楽しむ・・ダンナの居場所。
その第31回は・・・・

「旅にしあれば旅の味」礼賛−長崎〜波佐見編

き物の里、波佐見の桜陶祭を訪ねる女将の仕入れに同道する11ヶ月ぶりの九州の旅、旦那の目的は「うまいもの」。 昨年7月の東京への転勤以来、旅行らしい旅行をしていなかったこともあり、3泊4日、思いっきりのリフレッシュを決め込んだ。 「器」「酒」「うまいもの」以外は、取り敢えず何も考えない旅というのも、また格別。 一途に通う、うまい店の料理が相変わらずうまい!ということを確認する旅というのも、また格別。 九州を縦横無尽に移動しながら、「桜」の移ろいを愛でる旅というのも、また格別。 この地で出会う人々は、本当に人生を心から楽しむ天才ばかり。ドッグイヤーに生きる日常から、ホット一息、 何かを思いだしてくつろげる、そんな「旅にしあれば旅の味」礼賛−長崎〜波佐見の旅。

● ● ● ●チャンポン、小菊、龍馬の愛した長崎へ ● ● ● ●

崎空港へ降り立ったのは昼過ぎ、レンタカーで市内へ入り、「喜楽園」へ直行。 戦後すぐに開店した小さな名店。白いタイル張りの厨房には恰幅の良い優しい表情のおじいさんが、 大きな大きな鍋を振るう。チャンポン、皿うどん、炒飯だけのメニューだが、どれを食べても絶品。 あっさりとしたチャンポンのスープを一口飲めば幸せが口中に広がる。 さてさて、満腹をさすりながら、眼鏡橋方面へ歩いていけば、「岩永梅寿軒」に行き当たる。 1830年創業の老舗の菓子舗。2週間かけて作る「寒菊」という銘菓が有名だが入手は困難。 姉妹品なる「小菊」を求める。真っ白な生姜風味の固いお菓子、寒菊は小菊を大きくしたものだそうな。 お茶道ご用達の「もしほ草」なる、上質の昆布の香りが良い風味豊かな菓子もあり。 長崎の紫色の長い夜は、おいしいお茶菓子で更けるのでした。

● ● ● ●波佐見の風情を満喫できる桜陶祭の昼下がり ● ● ● ●

佐見は長崎県のほぼ中央、北は佐賀県の有田町に境を接する「焼き物」の町。 人口約15000人のうち、4分の1は陶磁器関連の仕事に従事しているという。 この地の焼き物の歴史は古く、器好きには堪らないスポットが中尾山を中心に随所に点在する。 今年も4月の7日、8日に13年目になる桜陶祭が開かれた。 各窯場で行われる作品の即売に加え、窯元が要予約で準備する趣向を凝らしたオリジナル陶器に入った花見弁当が圧巻だ。 器を求め、弁当を入手し、花見のスポットを見つけながら全山を散策。頃合いで場所を決め、窯元の特製弁当を楽しむ。これぞ、この世の極楽浄土。 「太一窯」や「光春窯」では地の樽酒も振る舞われる。 窯元で食べる料理は何故か、本当にうまいもの。料理へのこだわりと、食器への探求はきっと夢の実現において共振するもの があるに違いない。 光春の陶製弁当はこの日のためだけのオリジナルだが、とってもGOOD! お節や花見、行楽のお弁当にとっても便利。 数を集めて、「おかずのうつわ屋・本橋」向けに焼いてもらいたい! 「この指に止まる方」は女将まで! 夜は久々に「龍水亭」の鯉を堪能し(いつ食べてもうまい!詳細はBacknumberをご覧下さい)嬉野の美人の湯に浸かって就寝。 龍水亭は山水コースがやはりお得。洗い、鯉コク、和風あんかけ、うなぎの蒲焼きにて3400円也。

光春の弁当

太一の弁当

● ● ● ●心の故郷小石原へ ● ● ● ●

の3日目は、小石原へ。「マル大窯」で昼食をご馳走になる。鹿の刺身、自家製こんにゃく、おからのサラダ、鴨ごはんのおにぎり・・・ どれを頂いても飛び上がらんばかりのうまさ!小石原の素朴な器が手間を惜しまぬ料理を引き立てる。 料理を盛ってはじめてその器の魅力がわかる、使ってはじめてその器の使いやすさがわかる。 この窯で料理をご馳走になる度に、今まで見落としていた器を発見する。 上の写真の「小菊ともしほ草」を盛ったミニグラタン皿はマル大窯の作。大きさが丁度よく、電子レンジやオーブントースターにも耐用する。 素朴な色合いが料理を引き立て、仕舞う際には何枚でも重ねられる。早く「おかずのうつわ屋・本橋」で扱って! あまりにも「おからのサラダ」がおいしいので、作り方をご紹介。きゅうり、たまねぎをスライスして軽く塩をする。 ゆで卵を刻んで、野菜の水を切り、おからに混ぜてマヨネーズで和える。塩、微量の砂糖、こしょうで味付け。 ゆで卵の黄身だけ細かく刻んで上から散らすと綺麗。何故か缶詰のみかんととても相性が良いのでトッピング。 お好みでチーズを散らしたり、とんぶりや山芋のたたいたもの等、歯応えのアクセントを入れても楽しい。


石原を後にして、午後からは玄界灘まで走り海で一遊び、神湊(こうのみなと)の「はま荘」で魚を堪能、ここの鯛茶漬けに大感激。 翌日は福岡県は上野(あがの)の南、田川郡方城の「うつわ工房」を訪ねる。若いが勉強熱心な3人が営む清々しい窯。 はじめての訪問で緊張気味の女将、焼き方、土、釉薬、焼き物の話に始まり、いつしか、お互いの夢や目標 の話に発展していく。・・・その側で旦那ははひたすら器を取り上げては、「これにはかつおのたたきを盛ったらいいな。」 「少し大きいけど、思い切ってぐい呑みで使ったら面白いな」「3合程度たっぷり入る片口、集まりに桜の小枝なぞ浮かべたら乙だな」 などと、ひたすら空想の世界に浸っている。この器達が「おかずのうつわ屋・本橋」に顔を出す日は近い・・。 しかし、女将の見立ては旦那の趣味とは違うので、それもまた楽しみ。 (写真:縁側のお盆、おからのサラダと手作りこんにゃく) )

はま荘全景

うつわ工房の仕事場

旦那の居場所、今回は料理をお休みして、「旅にしあれば旅の味」礼賛−長崎〜波佐見のおいしさについてでした。 この旅で感じたことは、それぞれの場所で食べた食材の確かさでした。 長崎や玄界灘の海の幸、山里の野菜の味。なかでも、寒さにじっと耐えて、冬を越すことのできた野菜の甘さに感動しました。 流通に氾濫する消費財を大量に消費している毎日ですが、器にしろ、野菜にしろ、作り手の苦労やこだわりを思ってみる 機会も大切にしたいものです。 テーマパークや観光スポットを訪ねなくても何故か心にずしんと残る旅、ほんと長崎〜波佐見の魅力とは不思議なものです。

長崎 喜楽園 0958−23−3570
長崎 岩永梅寿軒 0958−22−0977 
竜門峡 川魚料理 龍水亭 0955−46−2155
神湊 はま荘 0940-62-0500
長崎 波佐見町ホームページ http://www.Iodc.co.jp/hasami

(2001年5月 copywright hiroharu motohashi)

backnumber

 

● ● ● ● ● ● ● ●

homepage