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ある日、突然、居酒屋から「オニオンスライス」なるメニューが消えた。
学生時代、過酷な夏の稽古の後に、風呂に入って、居酒屋直行。 「冷奴」「オニオンスライス」「冷やしトマト」だけを注文して、 生ビールを何杯か飲んだ。どこの店にも必ずあった「オニオンスライス」
たまねぎが辛すぎないこと、でも、独特の硫化アリルの風味と辛味が残っていること。 そして、よく水が切れていること、削り節が載っていること。
たったこれだけだが、意外と難しい料理。 ビールの冷たさに縮みあがった胃袋に、 辛味の刺激が堪らない・・ああ、なつかしのオニスラちゃんは今どこに!
● ● ● ● 玉葱のうまさの秘密
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外皮はビニールのようなパリンパリンの黄金色、切ると涙がポロポロ。
口に入れれば、刺激的に辛い。普通、考えれば、「これは毒があるかな?」とも思われる程の野菜だ。 昔の人はよくこれを食べる気になったな。しかし、ピラミッド造りに駆り出された
人々が食べていたというから、人類との付き合いは古い。ビタミンC、糖質を多く含み、 ビタミンB1の吸収を助ける。新陳代謝も活発にするというから、超ハードな肉体疲労時には
最適だったのかも知れない。 この辛い野菜、不思議なもので、加熱することで、甘味が出てくる。 この甘味成分は、プロピルメルカプタンといい、砂糖の50〜70倍の甘味を持つ。
加熱により、独特のコクと風味も増して、これが肉類には良く合う。ソースの味を支える力強さは抜群だ。 加熱の具合や切り方によって、しんにゃりやしゃきしゃき、辛味、甘味や苦味、千変万化な味のアクセントが
楽しめる。 シャキ感を残す程度の炒め具合もよし、鼈甲色にまで炒めてまた良い。 ドライカレーの上にカリッと揚げたオニオンが載っていたら、もう気分は豪華客船。
煮てよし、炒めてよし、揚げてよし、生でよし。ああ、うまいかな、たまねぎ。
● ● ● ●永遠の名脇役 たまねぎ
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たまねぎが主役の料理は少ない。「オニオンスライス」「オニオンリング」「オニオングラタンスープ」くらいかな。
それでいて、様々な料理の材料として顔を出す。カレーをはじめソースやシチューにはかかせない。 黄金色になるまで炒めたやつが、ソースの風味を決定付ける。
ハンバーグのつなぎにも最高だ。肉のうま味を抱留め、ジューシー感を演出し、さらにそれに気品を添える。 コロッケ、オムレツ、牛丼、肉じゃが、酢豚、どれもメインの素材ではないが、
たまねぎが入らなけりゃ、勝負にならない。 生でも、みじん切りを煮込み料理に散らして薬味にしたり、ドレッシングにたっぷり入れれば、 ナチュラルな甘辛さと風味を楽しめる。
自らは決して出張らず、しかして、いないと誰もが困る。たまねぎ君よ、あんたはカッコウ良すぎます。
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