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結婚前に女将と牧場に遊びに行ったことがある。大きな牛が近ずいて来て、 ペロリと女将の手を舐めた。その瞬間、思わず女将は「まあ、おいしそう。」と歓声を上げた。
● ● ● ● 牛タンのうまさの秘密
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牛は、内臓から尾っぽに至るまで、ほとんどすべて食べられる。
中でも、タンは至高の素材と言える。繊維が緻密で、うまさが凝縮。 堪えられない深い味わいがある。脂肪は多いがよく締まり、実に歯応えが良い。噛み締めると濃厚な肉の
風味がふわっと浮き立つ。先端は固く風味が単調だが、つけ根に行くほど霜降りになり、柔らかい。 断面をカットすると、CTスキャンの大脳の写真みたいな模様があって、赤っぽいところと白っぽいところの
コントラストが食欲をそそる。中央の芯タンだけを口に放り込めば、極楽直行。 生のスライスをさっと焼いて、歯切れの良さを楽しむも良し。厚切りを煮込んで舌の上でとろけさせても良い。
皮だけを茹でて、酢醤油で食べるに至っては人生観を変える凄さがある 醤油との相性も良いし、濃厚なブラウン系のソースやバターにも合う。 むろん、塩味だけでステーキ、スモークしても、本来のうま味を楽しめる。
● ● ● ●タン塩騒動
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焼肉屋では、塩タンを食べる時がもっとも楽しい。発注からして迷ってしまう。
必ず、メニューには「タン塩」と「上タン塩」があるからだ。どのくらい品質に差があるのだろうか? 先端か根元の違いか、はたまた、国産か輸入の違いか、いやいや厚みが違うのか。
始めていく焼肉屋では、もう気になって気になって仕方がない。近頃はそれに加えて、「極上タン塩」やら 「ねぎタン塩」やら、更に選択肢が増えている。
運ばれて来ると、厚みをチェック。それから、レモンだ。小皿にレモンを絞り、鼻歌交じりに塩と一味でタレを拵える。 「焼く前のタンにレモンをかける派」や「焼いた後、野菜を巻いてレモンをかける派」もいるので、初めて網を囲む相手には嗜好を確認。
必要に応じて、レモンを追加しなければならない。 さあ、そして、いよいよ焼き。眼の前には、ビールとキムチだけだから、はやる心を抑えられない。
でも待って!網なり鉄板が充分温まっていることが大切だ。肉の表面が加熱で固まるまでの時間の 短かさが、ジューシーな美味さの源だからだ。しかも、反対側は殆ど焼かない。
今しかないというタイミングを見計らってレモンダレへ。このタレは決して、たっぷりつけるのではなく、粗熱を取る程度のつけ方が望ましい。 次の瞬間、幸福が口の中いっぱいに広がって・・・。ああ、本当に、うまいかな牛タン。
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