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大学時代、運動部の合宿所に住んでいた。合宿ともなれば40人の団体生活。
朝食を作り、起床の号令をかけるのは一年生の仕事。眠い目をこすりながらまず味噌汁の鍋に火をつける。 ある朝の起床前、食事当番の同期が、「もっちゃん、はさみ貸して」と取りに来た。
何かおかしい!見にいくと、大量の砂糖を味噌汁に投入して首をひねっている。 その上、菜ばしで鍋から、長〜いわかめをつまみあげ、はさみでチョキチョキ切り出した。
「もしかして、塩蔵のわかめ切らないで入れたわけ?」「うん、しかも塩を洗うなんて知らなかった!」 運動部は我慢の連続。先輩からの不条理な仕打ちに黙って耐えることも多いが、
上級生になっても、毎年一年生の作るスゴイ食事を文句も言わずに食べることも学ぶ。
● ● ● ● 若布のうまさの秘密
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若布の真髄は、歯応えにある。中でも、赤褐色の生若布にさっと湯通しした若布の食感は抜群だ。
魚売り場で、刺身若布なんて書いてあるのを見つけると堪らず買ってきて山葵醤油で「シャキカリ」 食べる。鳴門の灰干若布もこれに近い。黒々としたやつを口に放り込む瞬間は涙ものだ。
また、葉の中央に走る茎や中肋のところは、コリカリして乙な感じだし、めかぶの「ネバトロ」は止められない。 「ネバトロ」というより、「ズルズル」食べる。これがうまい。
一方、残った味噌汁の中でゆっくりふやけた若布の食感もまた良い。 「ネントロリ」という感じで舌の上を滑りながら溶けていく。邪道かも知れないが、こういう若布もまたうまい。
「シャキカリ」を楽しむためには、過度の加熱は禁物だが、熱が入って緑色に変わる瞬間が、 若布のうまさと香りを感じるには最も良い。しかし、若布の味とはどう表現したら良いのであろう。
微妙なうま味と甘味、微かな苦味か、他の似た食べ物に例えるだけの特徴はない。 藻類全般に言えることだが、慎ましく上品なうまさとでも言えようか。それだけに出汁や醤油との相性が良いのだろう。
● ● ● ● 若布の料理
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若布といえば味噌汁、うどん、スープなど汁物の利用が圧倒的に多いだろう。
「明日の味噌汁は何にしよう。」こんな時、「わかめ」と「豆腐」があれば、ぐっすり眠れる。 焼肉屋といえば、何故か「わかめスープ」だが、これも絶品だ。乾燥わかめの一番おいしい料理は、この「わかめスープ
」ではないか。 サラダもうまい。和風ドレッシングが、ここまでメジャーになれた最大の功績者は「わかめ」だろう。 今流行の甘めの和風味とも合うし、ゆずや紫蘇の香りとすんなり馴染む。ごま油とはおいしさの相乗効果を
発揮する。わかめといえば、昔から「酢の物」だが、この料理、最近の日本の食文化の中では、 「和風サラダ」に名前を変えてしまったのかも知れない。
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