2012年3月の記事

旦那の居場所第39回 「ハンバ-グ」礼賛

女将のダンナは「惣菜管理士」というあまり知られていない資格を持っている、 ただのサラリーマン。とにかく大の料理好き!・・で、このお店を間借りさせて あげることにしました。 名づけて「ダンナの居場所・・居酒屋のおやじを夢見て」。 これからも色々な素材を取り上げていきますのでお立ち寄りください。*この記事は1998~2005年に書かれています


岡山で業務用冷凍食品の営業に携わっていた時の話、オープン前のテーマパークの準備室に通い詰めた。料理長と一緒にメニューを考え、いよいよ自社商品の冷凍ハンバーグの採用に漕ぎつけた。開園後は連日の超満員、熱湯が煮えたぎる巨大な鍋から、ボイリングパックのハンバーグを取り出しては、次から次へと鉄板で焼き風味を付けていく。へとへとになりながら、皿に盛り付けるそばから、なくなっていくハンバーグ。ハンバーグの思い出といえば、GWの連休を一日も休まずに焼いた自社の冷凍ハンバーグを忘れることはできない。

● ● ● ●ハンバーグの郷愁● ● ● ●

我々の世代にとってハンバーグは家庭で作るもの。育ち盛りには母親が作るハンバーグ1個でどんぶり飯を3杯は「おかわり!」した。家庭のハンバーグは具の玉ねぎのカットが大きく舌に残るところがしみじみとした味わい。「洋食店」と称する外食店で初めて「ハンバーグ」を食べたのは小学校も高学年になってからだが、プロの作ったハンバーグの絶妙の食感とナツメグの香りに言い知れぬ感動を覚えたものだ。

「マクドナルド」や「ウエンディーズ」のハンバーガーを初めて食べた時の感動。用賀の「プレストンウッド」で食べたジュージューはねるハンバーグ。自分の成長と共に何故か「おいしいハンバーグ」も進化を遂げる。「ハンバーグ」にまつわる遠い10代の頃の記憶。自分のお財布で奮発するにはぎりぎり限界の、その時々のちょっぴり苦く酸っぱい、淡い思い出の名残ともいえようか。

● ● ● ●うまいハンバーグを焼きたくて● ● ● ●

「洋食」のプロに技を習ったことがある。簡単そうで難しい「ハンバーグ」。軽快なリズムの空気抜きは素人にはなかなか難しい。しかし、盗むべき技は、これだけにあらず。おいしく作るための重要ポイントが随所にある。具の下拵え、味付けと具のこね具合、最も難しいのは、焼き加減と焼き上がりの見極め。本当にうまいハンバーグはソースなど要らない。ナイフを入れた瞬間に中から出てくる肉汁、口に含んだ時の食感。フライパンの状態やオーブンの種類によっても微妙に勘所が変わるから、家庭で何回か試して「これぞ」という焼き方をマスターしたい。

■■■ ホントにうまいハンバ-グ料理あれこれ ■■■


「基本のハンバーグの具」

経験上、たまねぎは、ひき肉の半量程度がバランスとして良い。「洋食店」ではたまねぎは4分の1程度が主流と思うが、家庭のハンバーグは玉ねぎ多目がうまい。玉ねぎは香りと甘さのために3分の2をバターで炒める。食感のために残りは生のまま、細かめのみじん切りで使う。炒めた玉ねぎは良く冷やし、生のたまねぎ、牛乳で浸した生パン粉、玉子をひき肉に良く混ぜる。ひき肉は牛と豚の合い挽き。塩・胡椒・ナツメグで味付けする。

肉類は焼く直前に塩を振るのが基本だがハンバーグは例外。塩を入れこねることで、塩がたんぱく質に作用してひき肉の粘着力が増し、食感を向上させる。とにかく良く練ることが肝心。あまり練るとひき肉がつぶれて食感が悪くなるのではと考え勝ちだが、これは反対。練りが足らないとボソボソのハンバーグになるので注意しよう。

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本当にうまいハンバーグにはソースは要らない。「オーソドックスなハンバーグステーキ」熱々をそのままふーふー言いながら食べるのみ。
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オーブンを200℃で予熱。「基本のハンバーグの具」を厚めに成型。(手のひらを使ってよく空気を抜きし、最後はまな板にパンと打ち付けて包丁で成型)フライパンで両面を固める程度に焼き、バターを乗せオーブンで仕上げる。ソースは使わず、肉の風味とナツメグの香りを楽しむ逸品。
 


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「失敗しない煮込みハンバーグ」デミグラスベースのシチュー状のソースで煮たやわらかい「ハンバーグ」。「ハンバーグ」ってこんなにうまいの?と思うに違いない、失敗のないハンバーグ。

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玉ねぎのざくぎり、にんにく・にんじんの摺りおろしをオリーブオイルで炒める。これに市販のデミグラスソース、ウスターソース、トマトケチャップ適量を入れてシチュー状のソースを作る。「基本のハンバーグの具」で作った小さ目のハンバーグはこんがり両面焼き、八分通り火が通ったらこのソースに入れて煮る。
いつまでも「熱々」。外側はかりっと、中はジューシー。味、豪華さ、失敗の無さ、どれをとっても自慢のハンバーグ料理だ。

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和風のテイストが加わるとハンバーグはとても上品な料理に変身する。ファミリーレストランでは普通のハンバーグに醤油ベースの大根おろしや、きのこのソースをかけたものを和風ハンバーグと名付けてはいるが・・・・。例えば、具に乾椎茸やたけのこ、ごぼうを使う。味付けに醤油や味噌を使う。香辛料に山椒を使う。ひき肉に牛肉でなく鶏肉を使う。和風ハンバーグの世界が果てしなく広がる「和のハンバーグ」

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たけのこ、なすを刻んで炒めて冷まし、「基本のハンバーグの具」に混ぜる。香辛料は山椒。団子状にまとめてナスの器に入れてオーブンでじっくり仕上げる。焼き味噌、しょうがのしぼり汁を添えて熱々を食べる。



 

旦那の居場所、今回は「ハンバーグ」のおいしさについてでした。フードプロセッサーがあれば、肉は自分で挽いた方がうまいようです。我が家ではクイジナートが威力を発揮します。手間はかかりますが、包丁でトライするなら塊でなく、うす切りをトントンすれば良いでしょう。一度お試しあれ。具は練りこんでいるうちに温度上昇し、風味を損ないますのでご注意を。

うまい「洋食店」に行き、タンシチューか、ポークチョップか、はたまたビーフカツレツか、なんてメニューを見ながら迷っていると、厨房の奥からぷーんと「ハンバーグ」の焼ける臭いが・・。え~と、タンシチューと海老グラタンと、それから「ハンバーグ」も!なんて結局、この臭いに負けていつも「ハンバーグ」をオーダーしてしまうというから、ほんと「ハンバーグ」の魅力とは不思議なものです。

(02年4月 copywright hiroharu motohashi

旦那の居場所第37回 「シングルモルトウイスキー」礼賛

女将のダンナは「惣菜管理士」というあまり知られていない資格を持っている、 ただのサラリーマン。とにかく大の料理好き!・・で、このお店を間借りさせて あげることにしました。 名づけて「ダンナの居場所・・居酒屋のおやじを夢見て」。 これからも色々な素材を取り上げていきますのでお立ち寄りください。*この記事は1998~2005年に書かれています


シングルモルトウイスキーの世界に魅了されたのは、今から12年程前。先輩と通った六本木の店のバーテンダーに、その奥の深さを教えてもらった。シングルモルトとは、ただ一つの蒸留所で作られるモルトウイスキーだけを瓶詰めにしたもので、他のモルト原酒やグレインウイスキーをブレンドしない酒である。その美味しさに魅せられて、どれ程のシングルモルトを飲んできただろうか。 岡山在住時代、地元の老舗バー「リットン」の当時のチーフバーテンダーの薦めで、ザ・スコッチ・モルト・ウイスキー協会に加盟した。スコットランドのエジンバラに本部を置くこのソサイエティーは、プロ、アマに限らずモルトウイスキーを愛する人々の団体で、協会の厳選したシングルカスクの逸品が手に入る。旦那の居場所、今回はシングルモルトを礼賛したい。

● ● ● ●シングルモルトウイスキーのうまさの秘密● ● ● ●


シングルモルト、日本で言えばそれは差し詰め地酒に相当する。スコットランドには多くの蒸留所があるが、それぞれの個性は飲み比べに値する強烈な個性を持っている。生産地区の気候や緯度、立地による違い、蒸留所による違い、水や原料による違い、仕込み樽による違い、熟成期間による違いと、モルトウイスキーの色、香、味、フィニッシュを形作る要素も様々だ。既に操業を終えた蒸留所も多いが、20年30年前に仕込んだものを世に送り出しているところもある。

大麦麦芽(モルト)を発芽により糖化し、発酵させる。これを銅製の単式蒸留釜「ポットスチル」で2回もしくは3回蒸留する。こうしてできた無色透明の荒々しい新酒「ニューポット」をオーク材でできた樽で熟成する。この時の樽はバーボンウイスキーやシェリーの熟成に使われた樽などが使われるが、この樽によっても出来上がりの個性が大きく決する。

保税倉庫の樽の中で、スピリッツは長い歳月をかけて、芳醇でまろやかな、気高い琥珀色の飲み物に変化する。スコットランドの気候と大地が育み、腕自慢の職人達が丹精し、天使に分け前を盗み飲みされながらも20年30年と眠り続けたモルトの傑作。封を切ったばかりのボトルから注がれる重く低いが弾みのある「トクトクトクトク」という音、お気に入りのグラスの内面に垂れる黄金色に輝く足。「樽で眠っていた状態のモルトを何も足さず、取り除かずに瓶に詰めた」スコッチ・モルト・ウイスキー協会のシングルカスクボトルには、スコットランドの風土と作り手の英知までが封印されている。

● ● ● ●旦那愛飲の、お薦めのシングルモルト● ● ● ●

フルボディーのしっかりしたドライ気味のモルトが好きだから、ハイランドのROYAL LOCHNAGAR(ロイヤル・ロホナガー)やスペイ川流域「緑の谷」に位置するGLENFARCLAS(グレンファークラス)が、愛好の品だ。スモーキーなフレーバーを約束する濃い琥珀色、味は、ややフルーティーまたはクリーミーな感じのかすかでふくよかな甘さ、ドライながら余韻が残る後味。水で割ってもしっかりとバランスを崩さない確かさ。こうしたモルトに出会う時は至上の喜びを感じてしまう。

女将も好きな、女性でも飲みやすいものは、GLEN MORANGIE(グレンモーレンジ)、ABERFELDY(アバフェルディー)、BALVENIE(バルヴィニー)、少々重いがROYAL BRACKLA(ロイヤル・ブラックラ)あたりがお薦めだ。ビャクダンのような華やかな香、バニラやハニーナッツ、ラムレーズンのようなスイートな香、シナモンのようなスパイシーな香、フレッシュでフルーティーな柑橘系の香、上品で秀逸な香に包まれて、食後のひとときを過ごしてみてはいかがでしょう。

● ● ● ●シングルモルトの飲み方● ● ● ●


グラスはチューリップ型の香をより感じるものを使いたい。旦那は女将から贈られたリーデル社のHANDMADEのシングルモルト用を愛用している。静かにグラスを回しながら、色を確かめ、鼻腔を広げ香を楽しむ。ニート(ストレート)でゆっくり味わう。次に水を半量加える。驚くことに大半のモルト・ウイスキーはこの瞬間に表情が激変する。この変化がまた楽しい。食前に楽しむもの。食事にあわせるもの。食後にゆっくり嗜むもの。読書をしながらナイトキャップで選ぶもの。キャンプの時など、愛用のハンティングフラスクにお好みを入れて行き、焚き火の前で飲むのも楽しみの一つだ。シングルモルトとの出会いは、お酒との付き合い方の幅を大きく広げてくれた。

■■■ シングルモルトに合う料理 ■■■

まずは、スモーキーなもの、ハムやスモークチーズ、スモークサーモン等が嬉しい。そして、少し塩気のあるもの。ミックスナッツなどは定番だ。ウイスキーのほのかな美味さを最大限に引き出すには、柔らかい甘さを持つチーズやレーズン等がぴったりだ。
サーモンをクリーミーなウイスキーソースでボイルしたもの等、英国には涙ものの缶詰めもある。スコットランドでは、羊の内臓とたまねぎをミンチにし、牛脂とカラス麦を加えて塩と胡椒で味付けし、羊の胃袋に入れてゆでる「ハギス」という料理が一般的。ハギスはモルトに欠かせないスコットランド伝統の郷土料理、いつの日かスペイ川で釣りでもし、パブでハギスとモルトで乾杯といきたいものだ。

我が家には欠かせない毎朝の定番は、プレーンなヨーグルトにたっぷりのレーズンをかけるもの。このレーズンは1週間分、まとめて土日にウイスキーで戻している。「モルト・レーズン」のおいしさにはびっくり。毎日の鉄分補給にはこのレーズンが欠かせせない。モルトウイスキーのためのオードブルには、クラッカーにクリームチーズを載せ、「モルトレーズン」を山盛りに。レーズンバターよりも格段に上品なレーズンチーズをお試しあれ。
市販のジャムをベースにオリジナルでコクのあるジャムを作ろう。ジャムの用途が果てしなく広がる「大人のジャム」

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レーズンを良くほぐして鍋にいれ弱火で加熱、ごく微量の砂糖とモルトウイスキー少々を入れかきまぜる。ウイスキーが飛んでレーズンがぷっくらとしたら出来上がり。ウイスキーの入れ過ぎ、加熱のし過ぎは禁物。微量の砂糖はレーズン本来の甘味を引き出すためだからほんのちょっとで良い。

「大人のジャム」
市販のジャムを鍋に入れ、モルトウイスキーを少量入れて、混ぜながら加熱。液分が飛んだら出来上がり。ジャムでもマーマレードでもOK。プリザーブタイプのものがお薦め。バケットに塗りオードブルにしたり、クロテッドクリームととともにスコーンに合わせて、アフタヌーン・ティーを楽しもう。


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スモークサーモンとウイスキーの相性は抜群だ。なかでも、ウイスキー樽の廃材チップで燻したスモークサーモンはウイスキーと合わせる料理としては最高の逸品だが、入手困難。日本でウイスキーと共に楽しむ時は、せめて、しっかりスモークした上等なものを選びたい。価格と品質のバランスからすると「王子のスモークサーモン」がお薦めだ。これに特製のソースを添える「スモークサーモン・レモンウイスキーソース」

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完熟したオリーブをモルトウイスキーで軽く煮ながら、アルコールを飛ばし、砂糖、塩、レモンの絞り汁、ケッパーを入れて、片栗粉かコーンスターチでトロミをつける。白菜は繊維を切るように繊切りにし塩で揉んで水気を出す。2時間ほどして良く絞り、微量の砂糖、白ワインビネガーで薄く味付け。皿に白菜、スモークサーモンを盛り付け、冷やしたソースを添える。


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モルトウイスキーには羊肉の料理が欠かせない。「ハギス」は再現困難だが、ラム肉でソーセージ風のハンバーグを楽しむ。 厚めに焼くか、薄めに焼くかは、お好み次第で、「ラムのソーセージ風」

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弱火で甘味が出るまで炒めた玉ねぎのざく切り・にんにく、ラム肉、タイム、塩、胡椒、グレープシードオイル少々をフードプロセッサーで粗く挽く。好みの厚さ、形に整形して、フライパンで両面を焼く。厚さがあるならその後オーブンで中まで火をす。余分な脂はしっかり落としたいので、加熱はしっかり臭いや脂が気になる場合は、焼いた後軽く茹でてお湯を切る。ソースは不要、そのままで充分いけるが、お好みでウスターソースとケチャップを。

 


旦那の居場所、今回は「モルトウイスキー」のおいしさについてでした。旦那愛読の書に、ブライアン・フリーマントルの「チャーリー・マフィン」シリーズがある。よれよれのスーツを着て、恐ろしく幅広のハッシュ・パピーを履いた英国の諜報部員「チャーリー・マフィン」は、一日の終わりに、シングルモルトを飲みながら、その日一日の無事を思い、見落としたことがないかを反芻する。 何をやっても様にならないチャーリーでさえも、このシーンは何故かしっくり来る。

めまぐるしい一日の終わりに、ウイスキーボトルを傾け、ほんの一杯。疲れもストレスもグラスのアロマとともに消えうせてしまうというから、ほんとシングルモルトウイスキーの魅力とは不思議なものです。

(02年2月 copywright hiroharu motohashi)
参考文献 「モルトウイスキー大全」 土屋守 著 (小学館)

旦那の居場所第36回 ほうれん草礼賛

女将のダンナは「惣菜管理士」というあまり知られていない資格を持っている、 ただのサラリーマン。とにかく大の料理好き!・・で、このお店を間借りさせて あげることにしました。 名づけて「ダンナの居場所・・居酒屋のおやじを夢見て」。 これからも色々な素材を取り上げていきますのでお立ち寄りください。*この記事は1998~2005年に書かれています


『ポパイ ザ セイラーマン』の調べに誘われて、今日もポパイはほうれん草の缶詰めを一握り。あふれ出てきた「ほうれん草」を一気に頬張ると、いきなり力みなぎり・・・・。お望みの結末が待っている。子供心に「ほうれん草」は、力の源、栄養源、身体にとっても良い野菜だと認識していたものだ。そして、「ほうれん草」の缶詰めなるものが存在する、アメリカという国はどえらい国だと感心した。

● ● ● ●ほうれん草うまさの秘密● ● ● ●

ほうれん草のおいしさは、噛むほどに広がる甘さに尽きる。やや土臭ささはあるものの、くせや匂いは少ない。歯切れがよく、筋っぽさや硬さを感じさせないのも食べやすい理由と言える。

甘さとともに感じるエグ味は、何故か年々淡白になっているような気がする。このアクの正体はシュウ酸だ。このアク故に生食には適さないほうれん草だが、近年ではアクの少ない生食用も出回っている。生のほうれん草のサラダをはじめて食べたときの感動は忘れられない。カリカリベーコンとの相性の良さ、醤油ベースの和風ドレッシングが引き立てるほうれん草の甘味。今ではすっかり居酒屋やビアホールの定番メニューに成長した。

● ● ● ●ほうれん草のうまい食べ方● ● ● ●

馴染みの深いほうれん草、家庭で一番よく食べられている料理は果たして何だろう。「おひたし」か「ごまあえ」か「味噌汁の具」か、はたまた「バター炒め」も美味しい。葉の切れ込みが大きくて柔らかい東洋系は「おひたし」に、葉が厚く形の丸い西洋系は炒め物に良いというが、現在では「治郎丸」など両群を交雑した中間品種の栽培が多い。油脂によく合うので、炒め物、特にバター炒めはおいしい。クリームやベシャメルソースとの相性も良い。

グラタンに入っていると何故かほっとする野菜でもある。少し手をかければ、ピューレ状にしてスープやカレーソースにもなる。酢にもよく合うので、ポン酢、ドレッシングでおいしく食べられる。卵や胡麻との組み合わせも捨てがたい。リゾットやチャーハンなど、米料理もおいしい。鮮やかな緑が食欲をそそる、ああ、うまいかな、ほうれん草。


■■■ ・・家庭でもほんとにおいしい、ほうれん草あれこれ・・ ■■■
ほうれん草は冬に甘味を増す。外に寒風を聞きながら、コタツでふーふー食べる鍋。犬の遠吠え、火の用心の拍子木の音だけが聞こえる夜更け。日本の冬にはシンプルな「常夜鍋」が良く似合う。毎晩食べても飽きない不思議な鍋だ。

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具は豚ばら肉のスライス、ほうれん草のみ。これを鍋で水炊きにしながら、ポン酢で食べる。
薬味はたっぷりの大根おろしと七味唐辛子。そして、なくてはならないのが酒の燗。
ほうれん草は根の先の赤いところが甘く一番美味い。鉄分もここに集中している。
捨てずに株を一本一本指で分け、間の砂やごみをよく洗い捨てずに食べよう。

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たっぷりとごま油とにんにくの風味を吸い込んだほうれん草は驚くほどうまい。手早く作る「ほうれん草のナムル」

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良く洗ったほうれん草、一つまみの塩を入れた、たっぷりの熱湯に最初は根元を30秒程つけ、次に全体をゆでる。
すぐに冷水に取り、退色を留める。絞ると苦味が出るので、絞らずに両手で挟むようにして少しずつ水気を切る。
水気がちゃんと切れていれば、とても美味しい仕上がりになる。3~4cmに切り良く広げてボールへ。
ほうれん草一束に対して、ごま油小匙2、塩小匙1、にんにくのすりおりし少々。これをボールに入れて手で優しく混ぜる。
良く混ぜるうちに油が段々乳化したような状態になり、調味料がほうれん草全体に行き渡る。
力をいれずによくかき混ぜ、ほうれん草の繊維の隅々まで油がしみこめばOK。


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ほうれん草は和風だしや卵との相性も良い。また、食感のコントラストから若布と一緒に食べるのも美味いもの。手早く子供のおかずにも最適なほうれん草と海草で作る「ほうれん・草の卵とじ」


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生で食べられるほうれん草、戻した若布をフライパンに重ね、だし汁、溶き卵をかけてさっと煮る。
 


旦那の居場所、今回は「ほうれん草」のおいしさについてでした。
一年中食べられる便利な食材ですが、やはり冬場の方が葉がしっかりしていて、甘味が強いように思います。現在のイランあたりで栽培が始まり、ネパール・中国を経て日本には16世紀に伝わってきたといいます。「ほうれん草」の名はネパールの地名に因んだものですが、一般には「唐菜」「赤根菜」の名で日本各地に広まったようです。 「ほうれん草」も良いけど、「赤根菜」なんて、なんとも素敵な名前ですね。鉄分、カルシウムを多く含む野菜で、栄養価も高く、冒頭の「ポパイ」のイメージはここから来たのでしょう。

寒い冬の朝、「ほうれん草」の温かい味噌汁に迎えられて、一日が始まる幸せ。この野菜に出会うと、なんともほっとするような、優しい気分にさせられるというから、ホントほうれん草の魅力とは不思議なものです。
(02年1月 copywright hiroharu motohashi)

旦那の居場所第35回 お粥(かゆ)礼賛

女将のダンナは「惣菜管理士」というあまり知られていない資格を持っている、 ただのサラリーマン。とにかく大の料理好き!・・で、このお店を間借りさせて あげることにしました。 名づけて「ダンナの居場所・・居酒屋のおやじを夢見て」。 これからも色々な素材を取り上げていきますのでお立ち寄りください。*この記事は1998~2005年に書かれています


アジアの朝にはお粥が良く似合う。朝食の迎え方も国それぞれなら、お粥の個性もそれぞれ。二十歳の頃、柔道の遠征で訪ねた台湾。台北の寄宿舎で食べた素朴なお粥のうまさは今も脳裏に焼き付いている。一口食めば、口中に清清しい甘さが広がり、胃腸の疲れを癒し、身体全体を整えてくれるようなやさしさを味わえる。お粥の朝食には、米を主食としてきた民族の秘めたるパワーの源泉があるような気がする。


● ● ● ●いろいろなお粥たち● ● ● ●


喧騒とともに明ける香港の朝は、「粥麺専家」なる粥専門店の前で出勤前にお粥をすする人々の光景で始まる。日本の粥とは異質な炊き上がり。米は、水と油を吸い込み完全に原型をとどめぬまでの状態になっている。米のでんぷん、だしの水分、そして油が乳化しているとも思えるほどの渾然一体感だ。油条(揚げパン)や香草(パクチー)をはじめ好き好きのトッピングは楽しいし、具材もピータン、牛の内臓、魚ボールなどバラエティー豊か。具のアクセントは味付けにはとどまらず、食感や香りまで幅広い奥行きを見せ付けてくれる。

土鍋の蓋を開けると立ち込める湯気。冬の冴え渡った空気にさっと暖かさが広がる。日本のお粥ほど冬の静けさに似合う食べ物はない。こちらはしっとりとした味わいの質素で素朴なお粥。水の良さ、昆布のだし、白粥が基本のやさしい味だ。京都では「おかいさん」として、朝に限らずポピュラーな食べ物。白粥をベースに梅粥、鮭粥、茶粥、小豆粥、芋粥、根こんぶ粥など、おいしいお粥を挙げればきりが無い。生米からじっくり炊き上げる「お粥」は「雑炊」「おじや」や「お茶漬け」にはない素朴な魅力を持っている。

● ● ● ●七草かゆの思い出● ● ● ●


七草かゆは子供時分の私にとって最も辛いイベントの一つだった。さしてうまくもないものを朝から食べさせられることも辛いが、この日を境に正月気分は消えうせ、3学期のバタバタに飲み込まれていくことになるからだった。「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ、これや七草」母親に教えてもらった春の七草。こうした生活の知識の伝承者は決まって我が家では母親だった。

■■■ 家庭でもほんとにおいしい、お粥あれこれ ■■■

中国粥のうまさの秘訣は、第一にだしのうまさ。干海老や干貝柱、干椎茸など、アミノ酸豊富な乾物の旨味や豚肉、鶏肉などをベースとした舌に嬉しいだし。グルタミン酸をベースに鶏のイノシン酸、椎茸のグアニル酸、貝柱のコハク酸。うま味の相乗効果でとてつもないうまさのだしが出来上がる。そして、第二に米の食感。花の咲いたようなふわっとした状態が目標だ。家庭でも簡単にできる「滋味あふれるダシの粥」。鶏肉のうま味と白菜の甘味をたっぷり吸い込んだ極上の粥。疲れがひどい時、身体が弱っている時、目が醒めない休日の朝などは最適だ。ただし、だし取りには手間がかかるので、朝食に食べるためには前の晩にだしだけは作っておくこと。
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たっぷりの水を火にかけ、鶏もも肉一枚、しょうが2~3片、干椎茸、あれば干貝柱をことこと茹でる。鶏肉は柔らかくなるまで煮るが、肉にまだうま味が残っているうちに引き揚げて酒。醤油に漬け込んでおく。
次に、だしに白菜(1/4株程度)をたっぷり入れ、煮溶けるくらいまで煮込む。米はよく洗い、完全に水気を切り、ゴマ油とまぜておく。この油がやがて加熱することで米を柔らかく内側から破壊し花が咲くような食感に仕上げてくれる。
具材をすべて引き揚げただしに、ゴマ油を吸わせた米を入れ、はじめは強火、煮立ってからは吹きこぼれない程度の中火から弱火にしてコトコト炊いていく。
最後に塩で味を調える。だし材料の鶏肉や椎茸、白菜はトッピングとして食べてしまおう。


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お粥と一緒に炊くと、芋や豆は殊のほかおいしく炊ける。粘度の高い水分が熱媒体となるため、火の通りが均一でやさしくなり、芋も豆もほっくりと仕上がる。表面も乾燥しないために、色艶も素晴らしい。そして、なんと言っても、芋や豆の甘さが米とは相性抜群。芋粥なんてちょっと古臭い感じだけど、実はとってもうまいもの。一風変わった芋がゆなどお試しあれ。「さつま芋のミルク粥」

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米はよく洗い一晩ひたひたの牛乳につけておく。
翌朝、水・牛乳を足して米を炊いていく。煮立ったら火を弱め、よく洗ったさつま芋を皮ごと投入。
水と牛乳の比率は5:1程度。コンソメとバターを入れて味付けをしたら5分程度かき混ぜて完成。
米から出るトロミのためか、牛乳とは思えない程とてもクリーミーな仕上がりになる。


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お粥と黒胡椒の相性はとっても良い。また、九州でポピュラーな柚子胡椒との相性も抜群だ。お酒をたっぷりと使った白粥に、ピリッと辛いシンプルな日本の朝粥は如何。「美酒粥 柚子胡椒風味」

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たっぷりのお酒に、研いで水気を切った米を入れて、じっくりお酒を吸わせておく。
酒の3倍程度の水を足して、強火にかけ沸騰したら火を弱める。お酒が入っているので最初は蓋を開けたままで炊いていく。
アルコールがすっかり飛んだら蓋をして弱火でコトコト。最後に塩だけで味を調える。酒のかどを取ってまろやかにするために、 マグネシウム、カリウムを多く含むミネラル塩を使いたい。カリウムの含有率からすると「瀬戸のほんじお」がお勧め。
黒胡椒、柚子胡椒を好みで粥に入れかき混ぜて食べる。


旦那の居場所、今回は「お粥(かゆ)」のおいしさについてでした。お腹をこわした時にツキモノのお粥ですが、日常からお粥を作って食べる食習慣というのも大変良いものです。 日本では京都以外にはそうした習慣は少ないようですが、米を主食とする他国ではポピュラーです。粒が完全に壊れているお粥は白飯より消化吸収が良く、同じ分量の生米でも、はるかに満腹感があるわけです。

今から15年程前、体重が75kgを超えて緊急ダイエット、10ヶ月で8kg程減量しましたが、 この時の施策は「朝食にお粥」というものでした。さて、今朝も炊き立ての白粥を前にして、今日のトッピングは何にしようかなと一思案。醤油を垂らした焼き鮭、梅ぼし、ゆかり、こんぶの佃煮、のりと山葵に・・・なんて考えていると、毎朝でも良いからお粥が食べたくなってしまうというからホント「お粥(かゆ)」の魅力とは不思議なものです。
(01年12月 copywright hiroharu motohashi)

旦那の居場所第34回 烏賊礼賛

女将のダンナは「惣菜管理士」というあまり知られていない資格を持っている、 ただのサラリーマン。とにかく大の料理好き!・・で、このお店を間借りさせて あげることにしました。 名づけて「ダンナの居場所・・居酒屋のおやじを夢見て」。 これからも色々な素材を取り上げていきますのでお立ち寄りください。*この記事は1998~2005年に書かれています


烏賊(いか)のうまさが心に沁みるようになったのは、30歳に限りなく近付いてからだ。子供の頃は「味も素っ気もない」「ガムみたいな」「噛み切れない」、この食べ物を決してうまいとは思わなかった。しかし、アオリイカの握りの甘さに感動し、活きイカの造りの食感にむせび泣き、ホタルイカの沖漬けで絶倒し・・・。世の中にこんなにうまいものがあったとを思い知ったのだった。
今では耳の部分の刺身が大好物。咽喉から食道に落ちても尚、存在を主張してくれる気合の入ったうまさだ。


● ● ● ●烏賊いかイカのうまさの秘密● ● ● ●


いかのうまさの正体・・。これを一口で表現するのは至難の業だ。まずは食感。種類によって食感の楽しみも随分違う。コリコリッという歯応えが自慢のやつ、ねっとりした食感で品格を主張するやつ、つるっという咽喉越しのやつ。柔らかくてとろけるやつ、と様々だ。肉の厚さもおいしさに大きく関係するから面白い。そして風味、生のやつなら上品な甘さを楽しみたい。煮炊きをすれば独特のうま味が引き出され、焼けば香ばしさが加わる。イカのうまさは筆舌に尽くし難い。こうと説明できる言葉が見当たらない、たおやかで微妙なうまさ加減だ。

料理の向きは、やはり活き造りが一番うまいだろうか、塩辛や沖漬けも忘れてはいけない。透き通ったイカソーメンも捨てがたい。煮付けもいいし、炒めても揚げてもうまい。胴体の他にも、うまさ行列。腸(わた)は最高、耳はカリコリ、下足のうま味は濃いし、墨だっって食べちゃう。春から初夏にかけてのホタルイカ、夏場が旬のアオリイカは別格としても、今はヤリイカがうまい季節、春にはスルメイカ、夏は剣先イカ。とにかく一年中楽しめる。ああうまいかな、烏賊!

● ● ● ●河太郎の妙技に乾杯● ● ● ●

呼子の「河太郎」に初めて行ったのは8年前、女将との新婚旅行が最初だった。それ以来、2~3年に一度のペースで訪れているが、最初の感動が醒めないという点では、驚異的に満足度の高い店だ。娘「咲良」はここの板場を覗くのが大好きだ。完璧な流れ作業で、活きたイカがどんどん舟盛りの中に並んでいく。店の中央の生簀でイカが優雅に泳いでいるのも格別。シズル感ズルズルで待っている時間もまた楽し。舟盛りになって出てきた時には、むろんまだ動いている。もう食えないというほど、活き造りを堪能した後は下足と耳のてんぷら。これまた後を引くうまさで、あっっという間になくなってしまう。料理も店員の動きにも全く無駄のない店だ。

● ● ● ●イカ料理あれこれ● ● ● ●


イカの一夜干しをさっと炙って食べる幸福は日本人ならでは。誰にも教えたくない贅沢だ。堅いスルメを手で裂いてよく噛めば、口中にうまさと甘さがもんどりを打つ。スルメは松前漬けにも欠かせないし、キムチとして漬けてもうまいもの。この他には、胴体にもち米を入れて炊き上げた「イカめし」、縁日屋台でお馴染みのイカ焼き、お好み焼きは何故かたこでなくイカがあう。いか徳利なんて渋いやつもいましたね。

福岡の新しい名物「イカしょうまい」も最高。味噌やねぎと和えてぽっぽ焼き、下足を胴体に詰めて鉄砲焼き。醤油に味噌、しょうがにも良くあう。わさびやタバスコもいいが、くせのない味だけに、辛さは引き立つ。イカ墨のパスタにリゾット、地中海でもコウイカを良く食べる。にんにくやオリーブオイル、アンチョビにもよく馴染む。香草や香辛料とも相性抜群。中国料理では、何故かいつも見事な「松笠切り」や「鹿の子切り」でお目にかかる。和洋中なんでもござれのイカパワー。
イカ喰い日本人としての究極の食べ方としては、カラス(イカの口)の乾物、さきイカ、駄菓子屋にあった酢イカの数々も忘れてはならない。


■■■ 家庭でもほんとにおいしい、イカ料理あれこれ ■■■

「イカそうめん」という言葉をはじめて耳にした時は、そのネーミングの面白さに拍手した。それまでは「イカの糸造り」と呼んでいたのだが。ところで「イカそうめん」は何に浸けて食べるか?醤油かそばつゆか?いろいろ考えながらイカの身を細く引いていく包丁仕事はとても楽しいものである。ズルズルと食べたい「めかぶイカ素麺」
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イカは胴体と耳のところを使う。胴体の皮は、表は2枚、裏も1枚、必ず剥こう。後は好みの細さで刺身包丁で身を引いていく。出来上がりはめかぶと混ぜて、醤油やそばつゆで好みの味付け。しゃきしゃき感が欲しければセロリ、胡瓜や茗荷を入れてもOK。おろしたしょうが、菊花を散らして。うずらの卵をぽんと一つ乗せるも良し。

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いかのしゅうまいは今では福岡の名物だ。あのイカの風味と柔らかさをどうやって出すのだろう。あれこれ試してみたがうまくいかず、結局、しゅうまいやさんに聞いてしまって、納得できた。しゅうまいも良いが、家庭ではにぎやかにハンバーグ作りも面白い。「イカの柔らかハンバーグ」
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ぶつ切りにしたイカ、はんぺん、グレープシードオイル、塩少々、酒をフードプロセッサーにかける。
しょうが、ねぎ、しいたけ(軸のところで良い)のみじん切り、ざく切りした下足を足して食感が残るように再度フードプロセッサーを回す。植物油脂を多めに入れるとふっくらと仕上がる。(油脂は入れただけ食べることになるので、家庭ではくせの無さと抗酸化作用を考えてグレープシードオイルを使うといい)
フライパンで両面をじっくり蒸し焼きに。タレは酢醤油、しょうが醤油などでも良いが、特製のイカ腸のソース※はとてもよく合う。
※イカの腸に塩をして30分程度置き、中身を鍋に出して、酒、みりん、少量の砂糖を加え、加熱しながらかき回し煮詰める。好みでマヨネーズと混ぜてもGood!
 (このソース!むしろ、そのまま舐めて酒のつまみにしたり、ご飯にかけて食べてもうまい)

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イカの中でも、小さい種類は、風味の点でも独特の個性を持っている。むしろ、イカの魅力を小さい体に凝集していると言えるかも。瀬戸内暮らしの時代は、「べか」とか「べいか」と呼ぶ、ジンドウイカの仲間がとてもポピュラーだった。これを地中海風にオリーブオイルで炒めることで、煮付けや酢味噌では味わえないイカの風味と野趣が楽しめる。「小さいイカのカレー風味炒め」とにかくビールが進む。スペインの港町のバールで、一杯やる時のつまみには、こんな感じのイカ料理がよく似合うかな。
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べいか、または、ホタルイカ等がGOOD!。写真は宮城産の「ひいか」を使った。小さいイカの旬は、初春から初夏にかけてのものなので、この季節はもんごうの下足等でも良い。片栗粉入りの水にしばらく漬け、よく洗い、水切り。
酒、塩、カレー粉、片栗粉をまぶし、たっぷり目のオリーブオイルで揚げるように炒める。
カレーの風味はイカの香りととてもよく合う。カレー風味が苦手な方は、バジルペースト(ジェノバソース)で炒めてもうまい。



旦那の居場所、今回は「烏賊(いか)」のおいしさについてでした。
烏賊は食いたし、でも、丸ごと買ってくるとなると、捌いて皮を剥くのが面倒。でも、やっているうちにだんだん慣れてくるもの。
腸と下足を抜いて、胴を縦に開き薄皮を残して包丁で切れ目を入れ、上から足方面に引っ張ると皮は意外とうまく剥けるようです。生で食べるときは寄生虫アニサキスにご用心。糸状の虫が肉の表面に見えないか、皮を剥きながらよく見ましょう。

自家製の塩辛を作るもの楽しみのひとつ。柚子の香りを入れるのがお気に入りです。日本人は大のイカ好き、世界の消費量の約6割を日本人が食べています。 コレステロールが高いと敬遠されたこともありましたが、実はイカに含まれるタウリンに、コレステロール低下作用があり、動脈硬化を抑え肝機能を高める働きもあるようです。

ところであなたはどんなイカがお好きでしょうか?やれ「どこどこ産の何イカがうまい!」とか「イカはどこそこで採れた、ほにゃららイカに限る!」とか、イカ好き談義はつきませぬ。しかし、改めて思うと、イカという代物、美味さの定義自体も、好みによってイカようにもあるような・・・ イカの種類は500種ほど、イカの好みも十人十色、それでも墨だけはみな黒いというから、ホント「烏賊(いか)」の魅力とは不思議なものです。(意味不明)
(01年11月 copywright hiroharu motohashi)

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