女将の食卓blog

旦那の居場所第7回 豚バラ礼賛

女将のダンナは「惣菜管理士」というあまり知られていない資格を持っている、 ただのサラリーマン。とにかく大の料理好き!・・で、このお店を間借りさせて あげることにしました。 名づけて「ダンナの居場所・・居酒屋のおやじを夢見て」。 これからも色々な素材を取り上げていきますのでお立ち寄りください。*この記事は1998~2005年に書かれています


三田のラーメン「二郎」のチャーシューはバラ肉だったな。この店ではチャーシューとは呼ばずに 「ブタ」と言った。この店のご主人、「二郎のおやじ」こと山田拓巳氏には、高校時代から世話 になっている。酒の好きな人で、誘えばまず来る。つまみを差し入れて!と頼めば、この豚を 2~3本持ってやってくる。

麻薬のようなうまさ。ラーメンにのせてもいいが、ビールにもよ くあった。酔っても必ず年季の入ったタコイトをくるくると巻いてポケットに入れて帰るのが 印象的だった。ラーメン屋のチャーシュー(実は煮豚だが)、作る方にもこだわりがあるし、 食べる方にも好みがある。バラ肉、、もも肉など素材もまちまち。焼豚については、別途 に礼賛するとして、今回は「バラ肉」を少しつまみ食いしたい。


● ● ● ● 「豚バラとの出会い」 ● ● ● ●

子供の頃、中華料理を食べに行くと、決まって一番心待ちにしていたもの。それは、豚の三枚肉 の煮付けだった。あのやわらかさ、後でわかったが「五香粉」の独特の香気、濃厚な醤油ベース のソース。きっとこれは近所の肉屋さんでは売っていない、超高級なお肉に違いないと信じて いた。(我が生家では、お肉屋さんにおつかいに行くとき、豚肉といえば決まって「豚コマ」 なるものを買っていたので・・) 高校生になって、豚の角煮をどこかの居酒屋ではじめて食べたとき、これは和風仕立てのあの 料理に違いないと一人合点した。分厚い塊の豚のバラ肉、100g90円から、銘柄豚でも 180円くらいまでか。ああ、安くてうまい。うれしいかな、豚バラ・・。


● ● ● ● 「豚バラうまさの秘密」 ● ● ● ●

赤 身と脂肪が層をなしている。そのせいか風味とコクに富み、塊のままかぶりつけば、絶妙な 食感がある。きめは粗いが硬くはなく、ジューシーさがたまらない。豚肉の香りを一番感じる ところだ。元来肉の香りとか、風味なるものは、脂肪によるところが大きいと思う。鶏の皮で 作った鶏油(ジーユ)などはその好例だ。 この脂肪が適度に、しかも交互に入る豚バラ肉はだからおいしい。香しい脂肪のアロマ、 好ましい汗の臭いとでもいうか。まさにベーコンや、煮込みなどには打ってつけの素材。 もちろん、ヒレは言うに及ばず、ももやロースよりもカロリーは高い。 スライスを求める時も、ももやロースでなく、ついバラスライスを買ってしまう。その理由は、 まず値段が安い。 どの加熱方法でも硬くならない、他の材料に適度な脂(風味)と旨み(コク)を与えてくれる。 だから、野菜炒め、お好み焼、ソース焼きそば、・・やっぱり、バラ肉でなければならぬ。


★★ホントにおいしい・・「豚バラ」にあうあの料理★★

我が家での冬の定番料理。疲れが抜けて、身体が芯から温まる。仕込みは簡単。あとはじっくり煮込むだけの「あっさり和風ポトフ」

◆◆◆「あっさり和風ポトフ」◆◆◆
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たまねぎ、にんじん、大根、じゃがいもは大きめに切る。 豚バラの塊は、熱湯でゆで、アクがでたら、水洗い。 今度は、水から、野菜、かたまり豚バラを入れてただ煮ていくだけ。 じゃがいもは崩れやすいのであとから。ローリエを入れて臭み抜き。 バラ肉が柔らかくなり、深い味のスープになれば出来上がり。 調味は最後に、塩、胡椒のみ。理由はわからないが、バラ肉は最初から 一口大に切るより、食べる前にとりだし 切り分けた方がおいしい。


沖縄の豚肉文化、鹿児島の豚肉文化、豚肉の食べ方は九州以西の文化でもある。豚の角煮の原型は、長崎の卓袱料理、さらに溯れば、中国は北宋時代の東坡肉(トンポウロウ)に通じる。六本木の中国料理の名店、新北海園の飲茶、豚肉の蒸し物は抜群のうまさだ。
スペアリブあり、豚足あり。バラの塊を使い家庭で再現して楽しんでいる。 「豚バラの醤油煮込み」


◆◆◆ 「豚バラの醤油煮込み」 ◆◆◆
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豚バラは、フォークでぶすぶす刺して味を染み込みやすくする。醤油、酒、みりん、しょうが、 ねぎ、ハチミツの合わせ調味料につける。 フライパンでこんがり焼く。合わせ調味料とともに、深皿に入れて、 蒸し器でじっくり柔らかくする。 好みで「五香粉」または「八角」などで独特の香り付け。 豚バラは、中国語で「五花肉」「軟五花」。よく使われる素材である。



赤坂四河飯店で鍋を振る中国料理のエキスパートに回鍋肉を教えて頂いたことがある。意外だが、豚バラの塊は茹でて余分な脂を抜いてしまう。「回鍋」とは本来一度煮た材料を更に鍋で調理すること。こうすることで、味噌の味がのり、野菜との旨みがからまって、バランスの良い完璧な回鍋肉になる。プロの仕事、工夫、技に脱帽。 「回鍋肉(ホイコーロー)」


◆◆◆ 「回鍋肉(ホイコーロー)」 ◆◆◆
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バラ肉は塊のまま、中まで完全に火が通るまで茹でて薄くスライス。 キャベツ、にら、長ねぎはざくぎり。好みでピーマンも。 鍋に湯をわかし、キャベツを湯通し、ざるにあける。 中華鍋をカンカンに熱し、肉を香ばしく炒め、弱火にして、にんにく、しょうが 豆板醤、甜麺醤を入れ、さらに香りを出す。再び強火にして、ねぎ、キャベツ、にらを入れて 醤油、酒で味をととのえ出来上がり。 使いやすさ、色のよさから豆板醤、甜麺醤は味の素のCOOK DOブランドがおすすめです。 時間がない!、面倒!の節はCOOK DO「回鍋肉用」だけでも、もちろんGood!


旦那の居場所、今回は「豚バラ」のおいしさについてでした。当然うまいので、お好み焼きや、焼きそば、野菜炒め、常夜鍋に沖縄料理の面々などは割愛しましたのでご勘弁。 また、スペアリブ(骨付きバラ肉、排骨)も、これまた、あまりにうまいので、いつの日か 別途礼賛したい。

旦那の実家では、牛、鶏に比べ圧倒的に豚肉が食卓にのぼることが多く、豚肉好き、経済的な都合も相俟って、肉じゃがどころか、スキヤキまで、豚バラ。本来、スキヤキは牛肉料理だと悟ったのは中学生になってからのことでした。
中国では紀元前2000年以前から豚が飼育されていたというから驚きです。 ビタミンB1に富み、にんにくと一緒に食べると効率的に摂取できるようです。

豚バラブロックなるパックがスーパーに並んでいると、どう料理するかあてもないのに、女将の目を盗んでそっとカゴに忍ばせてしまうというから、豚バラの魅力とはなんとも不思議なものです。

98/11月

旦那の居場所第6回 キャベツ礼賛

女将のダンナは「惣菜管理士」というあまり知られていない資格を持っている、 ただのサラリーマン。とにかく大の料理好き!・・で、このお店を間借りさせて あげることにしました。 名づけて「ダンナの居場所・・居酒屋のおやじを夢見て」。 これからも色々な素材を取り上げていきますのでお立ち寄りください。*この記事は1998~2005年に書かれています


小学生の頃、土曜日は給食がなかったので、必ず家で昼飯を食べた。商売で忙しい旦那の生家では、手をかけた食事は期待できない。焼き飯、牛丼、おじや、煮込みうどん・・ その時、必ず野菜は、大皿山盛りのきゃべつの千切りだった。銘々皿にガポッととって、 醤油、ソース、マヨネーズあたりの調味料や、おしんこ、納豆などのトッピングを各自の好みでぶっかけて食べる。 先日、久々に生家に泊まった時に、朝飯から、このキャベツの千切りの大皿に遭遇した。 カリカリベーコンをちらし、ドレッシングをかけるところには食卓の進化を感じたが、懐かしい原型をとどめた一品だった。(親父65才は相変わらずそれにソースとポテマヨをかけていた。)


● ● ● ● 「キャベツとの出会い」 ● ● ● ●

腹 が減ってたまらない小学生時代、自分で料理して、胃袋を満たすことを覚えた時分、一番馴染みの 深かった野菜はキャベツだったと思う。まず第一に、一年中冷蔵庫にはいつもある。第二に刻みやすい 第三に当時自分の中で大流行していた即席ラーメンとの相性の良さ。「ちび六」というラーメンをご存知か、これにキャベツのざく切りも一緒に入れて煮込んで食った。
はじめて、中華鍋を振ったのも小学生、はじめての中華は野菜炒めだった。キャベツだけが、バランスを欠いて、不自然に多く入ってしまう。葉の2~3枚でもけっこうボリュームのあることを知らずに使った。


● ● ● ● 「キャベツのうまさの秘密」 ● ● ● ●

キ ャベツの偉大さは、どの料理方法でもうまい、ということにつきる。生食、炒め、煮込み、茹で、漬物・・。 ほのかな苦みと甘みをあわせ持つ。生ではあの青臭さが苦手という方もいらっしゃるが、 噛みしめた時の甘みはたまらない。加熱しても良し、キャベツのない野菜炒めなど想像もつかない。 油や醤油との相性もいいし、煮ればしっくりと味がしみる。パリパリの食感を残した浅漬けもたまらないが、 臭いほどに発酵した糠漬けの古漬けもいい。ゴマやかつぶしをのせれば、ごはんを何杯でも食える。 ザワークラウト、ロールキャベツ、回鍋肉(オリジンはキャベツでないが)、コンソメスープの浮き身に、軽く煮たキェベツの 千切りも抜群、味噌汁の具でもうまい。洋の東西、料理法を問わない有り難い素材。 お好み焼きについては敢えて多くを語るまい。千切りかざく切りか。関西風か、広島風か、関東風か。議論が果てぬ。


★★★ホントにおいしい・・「キャベツ」にあうあの料理★★★


女将の得意料理。切って和えるだけの定番の中から。簡単で、さっぱりと無理なくたくさん食べれる。ひじきのこんな食べ方もあったのかと 驚いてしまう、「キャベツとひじきのサラダ」(女将はコールスローサラダにも目がない。)

◆◆◆「キャベツとひじきのサラダ」◆◆◆

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キャベツは千切り。 ひじきは水戻し、何度か水をかえ、よく洗って、水気を切る。 キャベツ、ひじきをあわせ、市販のノンオイル ドレッシングをかける。 で出来上がり。



とんかつのチェーン店にドレッシングを提案した時の話。キャベツの千切りにとんかつソースをかけるか、
ドレッシングをかけるか、30歳代では半々、40歳以上はほぼソース、20歳代は間違いなくドレッシングだと痛感した。一食当たりでもっともキャベツを食べられるのは、「とんかつ」かも。というわけで、豚肉の栄養バランスの良さもあり、今や「とんかつ」はヘルシーメニュー。 余談だが、とんかつのキャベツにあうのは、オニオン入りの醤油ドレ、やや甘いかつお風味の和風ドレ梅やしその風味の和風ドレ、少し冷たい白のフレンチあたりがよいと思う。主役の「とんかつ」はさておき、とにかくキャベツの千切りをうまく食べるには、あれこれ試すのが一番。そこで、昔からの定番の味付けも含めて「トッピング自由のキャベツの千切り」

◆◆◆ 「トッピング自由のキャベツの千切り」 ◆◆◆
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キャベツは大量に千切り、大皿に盛る。 調味料は、しょうゆ、ポン酢しょうゆ、ソース、ドレッシングは和風やフレンチ、マヨネーズ、からし、 ゴマ油に、オリーブ油などなど。 トッピングはカリカリベーコン、削りぶし、ゴマ、納豆、紅しょうが、刻みのり、玉ねぎのみじん切り クレソン、みょうが、オクラ、たか菜、ザーサイなどなど。銘々皿にとり、おかわりの度にアレコレとアレンジ。 キャベツは、軽く電子レンジでチンすると、青臭みも抜け、甘みが増し、かさも減り、さらにたくさん食べられる。


豚肉とキャベツの組み合わせは多い。回鍋肉、ロールキャベツ、とんかつ,焼きそば、お好み焼き…。これも、お互いの素材がバッチリと調和した逸品。これからの夜長にこれをつまみに、一杯いかが?ビールも進むし、ご飯の上にかけてもうまい。「豚鍋 キャベツ入り」


◆◆◆「豚鍋 キャベツ入り」 ◆◆◆
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豚肉うす切り(バラ肉がうまいが好みで)、キャベツはざく切り。 鍋で豚肉、キャベツを煮て、ポン酢しょうゆで食べる。 薬味は七味、ゆずこしょう、しょうが、おろしにんにくなどで。 だし汁は水でもいいし、「ほんだし」か、「丸鶏がらスープ」でうす味に。 豆板醤、醤油、砂糖を適量で、だしを作れば、キムチ鍋風になってまたよし。



旦那の居場所、今回は「キャベツ」のおいしさについてでした。緑黄色野菜に比べると、栄養価の点では影が薄い存在と思われ勝ちのキャベツですが、ビタミンUや、骨を強くするといわれるビタミンKを多く含みます。
健胃作用もあり、我が国を代表する胃薬の名前にも使われています。 極圏を除く全世界で広く栽培される超メジャーな野菜です。 価格的にも庶民的で、使用頻度の高い人気者ですが、食用として栽培されたのは明治以降とのこと。
焼き鳥屋や串揚げ屋で縦に大きく切ったかたまりキャベツが食べ放題で、ソースと一緒に出されたりすると、何だか本当に得した気分になってしまうから不思議なものです。

98/10月


旦那の居場所第4回 世界のビール礼賛

女将のダンナは「惣菜管理士」というあまり知られていない資格を持っている、 ただのサラリーマン。とにかく大の料理好き!・・で、このお店を間借りさせて あげることにしました。 名づけて「ダンナの居場所・・居酒屋のおやじを夢見て」。 これからも色々な素材を取り上げていきますのでお立ち寄りください。*この記事は1998~2005年に書かれています

20才の頃に世界の缶ビール集めに凝った。鮮度が命だから中身は胃袋へ、空缶を集める。 輸入ビールは当時(15年前)珍しかったが、大きな段ボール5つ程になった。 缶のデザインや表示を見てはそのビールの歴史や産地の風土に思いを馳せた。 学生時代に通った銀座のビヤホール ピルゼン。ここではじめてピルスナーや黒ビールを飲んだ。 最初はおいしいとは思わなかったが、こんなビールが似合う大人になりたいと思って背伸びをした。 当然、まだ出会う前だが、同い年の女将も学生時代からピルゼンにはよく通っていたらしい。

◆ビールのうまさ◆

麦芽とホップ、水。原料は同じでも、風土・水の違い、ブルワリー(醸造所)の違い、ブルーワー(醸造士)の違いで、百様のビールができる。 うまいビールはグラスに注いだ時の泡立ちから違う。そして美しい色。グラスに鼻を近づけた時のアロマ。 モルトの香り、ホップの香り、そして、発酵がもたらす果実の様な香り。そして、口に含んだ時の感覚、口当たり。 最後に、口や鼻全体に感じる、コクやふくらみ、風味、バランス。 原料、製法、こうすればきっと理想的なビールができる・・ブルーワーの仮説とそれを形にできるかどうかの技術がモノを言う。 ビールの種類に応じて、飲む時の温度も管理したい。

◆ビールにあうつまみ◆

「この料理には、こういうビールがよく合う。」というのが必ずあると思う。 タイ料理には、シンハービールがやはり美味しい。 ドイツでビールを飲み歩いたが、通い詰めたのは、イタリア人が一人で切り盛りするピザハウスだった。 僕の嗜好としてはアイスバインやソーセージより、ピザやラビオリの方がドイツビールには合っている様に思えた。 日本のラガータイプのビールにあうつまみと、エールタイプのビールにあうつまみは違うのではないか。というのが最近の関心事だ。 この答えを得るためには、まずはビールそのものを知らなくてはならない。日本地ビール協会に入会して、アドバンストエバリュエイターの資格を得た。 日本各地の地ビールレストランのメニューを研究したり、アメリカの繁盛している地ビールレストランを訪ねて、片っ端から料理を頼んだりもした。 それでも未だにその答えは見つからない。

★★★ホントにおいしい・・「ビール」にあうあの料理★★★

絹さやは本当においしい野菜。緑を思わせる独特の風味と、しゃきしゃきの食感。油との相性も良い。 油も、サラダ油、バター、オリーブ油、ごま油といろいろに合わせてみると、ガラッと表情が変り、 あわせたいビールの種類も変ってしまう。エールでも良いが、よく冷えたピルスナーなどの ラガータイプにうってつけの「絹さやとブラウンマッシュルームの炒め物」

wbeer01.jpg●●●「絹さやとブラウンマッシュルームの炒め物」 ●●●
絹さやはすじを取り、冷水に放つ。加熱直前に水切り。 大きめにカットしたブラウンマシュルームと一緒に、 好みの油でシャッキっと炒めて、塩・こしょうで味付け。 温野菜のような感覚で、モリモリ食べる。



チーズといえばワインと考えがちだが、個性の強いこの両者をマッチングさせるのは意外と難しい。その点、ビールやウイスキーなら、あまり苦労なく、チーズとのハーモニーを楽しめる。 ビールの多くは食中酒だが、食前に飲みたいもの、食後のくつろぎに時間をかけ楽しむもの、デザートと 合わせたいものなど、数限りない。「カリカリベーコンの焼きカマンベール」なら、オードブルとしても、食後酒の軽いつまみとしてもピッタリ。イギリスのスタウトや、ベルギーのトラピストタイプを舐め舐めいかが?


wbeer02.jpg●●● 「カリカリベーコンの焼きカマンベール」●●● 

カマンベールは横半分に輪切り、切り口を上に向けオーブンでアツアツに。 お皿に盛り、上からカリカリベーコンを散らして出来上がり。 好みでフレンチパセリなどのハーブの風味をプラスする。 野菜ステイックやグリッシーニ、ガーリックトーストをステイック状にカットしたやつなどでチーズをすくいながら 食べてもおいしい。オードブルなど時間が経ってから食べるならチーズは加熱せず、室温で2~3時間置くとクーリーミーで トロトロの状態になるので、この食べ方がうまい。



豆苗(とうみょう)という中国野菜を見かけることが多くなった。豆苗とはえんどう豆の若芽の部分。 しゃきしゃきとした食感が楽しく、個性的な風味を持っている。カルシウムや鉄分に富み栄養価も高い。 豆苗といえば我が家では決まってこの料理。「豆苗と豚肉の炒め」 簡単でおいしく、ビールがすすむ。 イギリスのペールエールや、ヴァイツェンなどのドイツスタイルのエールビールに適。

wbeer03.jpg●●● 「豆苗と豚肉の炒め」●●●
豆苗はザク切り。豚うす切りは、塩・胡椒・酒(日本酒かウイスキー)でよくもみ、片栗粉・ 油を入れてさっと混ぜる。あわせ調味料は醤油2に対し、酒1(しょうこう酒でもよい)、砂糖1、 オイスターソース1の割合であわせておく。カンカンに熱した鍋に油をなじませ、一度温度を 落し、しょうがとにんにくの微塵切りを入れ油に香りを移したら強火にして、肉を炒める。 火が通ったら、豆苗、あわせ調味料を入れて、水とき片栗粉で仕上げる。 好みで、豆板醤をいれても良い。



旦那の居場所、今回は「世界のビール」のおいしさについてでした。 手に入れにくかった世界のビールも、今では豊富に飲めるようになりました。 何より嬉しいのは、94年4月の酒税法改正を受けて、日本国内に多くの地ビールのブロワリーが誕生し 質の高い様々なビールを楽しめるようになったことです。大きな投資、たゆまぬ研究を積み重ねていらっしゃる事業家の皆さんの努力に心から敬意を払い、地ビール産業の発展をお祈りします。 がしかし、赤ワインのように、にわかブームになって、お気に入りの銘柄が手に入らなくなるのもヤダから、あまり目立たないで~な んて無責任なことも考えたりするから、酒飲みという奴は不思議なものです。

(追記)世界のビールに興味がある方は、日本地ビール協会への入会、講習会の受講をお勧めします。一日の講習で30種類程度のビールをテイスティングしながら、五感をフルに使ってビールの素晴らしさに出会えます。
問い合わせ先 日本地ビール協会 TEL(0797)-31-6911 まで
参考書としては、日本の地ビール第一号、エチゴビール社長 上原誠一郎著「ビールを楽しむ」ちくま新書 を愛読しています。
98/7月

旦那の居場所第5回 茄子礼賛

女将のダンナは「惣菜管理士」というあまり知られていない資格を持っている、 ただのサラリーマン。とにかく大の料理好き!・・で、このお店を間借りさせて あげることにしました。 名づけて「ダンナの居場所・・居酒屋のおやじを夢見て」。 これからも色々な素材を取り上げていきますのでお立ち寄りください。*この記事は1998~2005年に書かれています

「秋茄子嫁に食わすな」の諺の本意が諸説あるのはご存知の通り。とはいえ、ナスの旬はやはり夏。 旦那の実弟(東北地方各県で勤務すること10年)の案内で、女将と一緒に東北3大祭りを制覇した夏。 小なす漬けとビールは片時も手元から離さなかった。「民田(みんでん)」「ちび丸」などがこの手の小なす漬けの品種。 丸なすよりも、草勢は弱く、寒さ・暑さにも弱いそうな。地方によって、呼び名もいろいろ。丹波や山形の小茄子も絶品の誉れあり。 最近では海外で生産したものを塩漬けし、 国内で本漬けすることもあるという。

◆ナスとは「一生の伴侶なり」◆

旦那幼少のみぎり、どうしても好きになれない野菜に「ナス」があった。まず、あの「気持ち悪い昆虫」を思わせる皮の色、 次に食感…。糠漬けの時のグニュ、ジュワー。味噌汁の時のスポンジ。 どうしてこれがうまいのか?真剣に悩んだりした。それが一転してナスを好きになったのは 酒を飲むようになってからだ。今ではナスの漬物は大好物。王様は糠漬け、塩もみもいい。しば漬けのシャキカリ感もたまらない。 みょうがや胡瓜、トマトなど夏野菜達との相性も良い。千葉は松戸の後輩の家でお土産に頂いたからし漬けは絶品だった。

◆ナスのうまさの秘密◆

ナスのうまさの第1は、油との相性。天ぷら、炒め物などなんでもござれ。それでいて、漬物にした時には皮のパリンとした食感が小気味よい。味噌やからし、しょうが、醤油、酢との相性まで良い。煮物、炊き物ではほっくりと味がしみて、うまみを体全体で受け止める。 賀茂ナス、米ナスを油であげて柚子味噌などを塗ったりしたら、もう反則的にうまい。誰がこんなおいしいマッチングを考えたのだろうと、脱帽してしまう。 火が通るほどに果肉はとろける様にジューシーになり、甘みを帯びる。

居酒屋でも何故か「焼きナス」があると頼んでしまう。皮の焼けた香ばしい匂い、ゆらゆらと揺れる削り節、おろししょうがにさっとかけた醤油の香り。
と、まあ、ナスとはまことにいろいろなお料理に出番の多い野菜なのであります。

★★★ホントにおいしい・・「茄子」にあうあの料理★★★


イタリアはローマの安宿のおかみさんに紹介してもらったレストラン、そこで食べた前菜。
素材が何かわからない程、やわらかく、うま味がしみ込んだ、よく冷えていた料理。世界にナスは1500種類あるので、この時のナスはどんなナスだったかはわかりません。 オリジナルはきっと一度オリーブ油で素揚げしていたと思うが・・
イタリア料理のはずなのに、急に日本を思い出させたあのやさしい味の「ローマのナスの冷製」

nasu01.jpg●●● 「ローマのナスの冷製」●●● 
ナスは丸ごと焼く。(時間がない時は生のまま皮をむいて油で炒める) 完全に火が通ったら 皮をむき、今度はごくうす味のコンソメで煮込んでいく。単調な味にならないよう市販のコンソメに、 ねぎや玉ねぎなどを一緒にいれて煮てもいい。オリーブオイルを入れるとぐっと 味が膨らむ。物足りない時は、こしょう、塩、白ワインなどで味を調える。 この料理に関しては、醤油はあまり良い隠し味にはならない。



女将の作ったこの料理のあまりのうまさに皿を抱え込んで食べてしまった。女将の得意は和え物・・。そのオペレーションは至って簡単。材料を切って、(茹でるか炒める)、和える。 材料、切り方、あわせ調味料によって、和にも洋にも中華にもなってしまう。 女将の料理にしては、これは手をかけている部類に入る。これはナニかな? 名付けて「和風ラタトウーユ」

nasu02.jpg●●● 「和風ラタトウーユ」 ●●● 

ナス、ピーマン、きゅうり(あればズッキーニ)、トマトは適当な大きさに切り、しょうがは微塵切り。 材料をすべて多めのゴマ油で炒め、ほんだしと醤油で隠し味。 冷たく冷やしていっぱい食べよう。 ししとうやオクラなどを入れてもいい。長ネギなども意外とマッチ。 敢えて「和風」でなく、オリーブ油、にんにく、バジルなどでこしらえても、もちろんうまい。



我が家でナスといえばこの料理も多い。加茂ナス(ホントはきっと米ナス)を見かけるとつい作ってしまう。手作りの柚子味噌だと、なおさらおいしく感じてしまう。…「ナスの柚子味噌田楽」 もちろん油でほっくりと揚げたナスは本当においしいが、ちょっと手間で・・という時にもおすすめ。


nasu03.jpg●●● 「ナスの柚子味噌田楽」 ●●● 

加茂ナスは皮のまま半分に切る。(縦割りか横割かは意外と好みがある)食べやすいように身に切り込みを入れたりすればプロっぽい。 多めの油で皮も身も揚げるように軽く炒め、ラップで包んで電子レンジで柔らかく。 この方法だと比較的簡単に短時間でホクホク、ジュワーの調理が出来る。 揚げるより油の吸収も少なくあっさりできる。油で炒めることで、色もとまる。(アクによる変色防止) 熱いうちに柚子味噌を身の表面に塗ってフーフー食べる。


*柚子味噌の作り方 麦味噌、砂糖(ざらめなどもいい)、みりん、柚子の皮(もったいないから果汁も)を 鍋でよく煮込む。テフロンなら焦げ付かず簡単。好みでいりゴマや粉砕した煮干しなどいれてもいい。本当にうまいので、是非一度手作りを。多めに作って冷蔵庫で保存。




旦那の居場所、今回は「茄子(ナス)」のおいしさについてでした。 ナスはほとんどが水分で、栄養価はあまりないのですが、食物繊維が豊富でポリフェノールを多く含んでいるところなぞは、今話題の存在といえましょう。
本来アクの強い野菜ですが、古来、塩や塩水でアクを抜いたり、油で色をとめたり・・と生活の知恵でうまく付き合ったきたわけです。
日本料理だけでなく、中国料理、イタリアン、フレンチと何れの食材としても重宝されているのは流石です。
でもそこはやはり日本人、ホントにうまい茄子の漬物が出てきたりすると「うーんおぬしやるな」と、唸ったりなんかしてしまうから不思議なものです。

98/8月

旦那の居場所第3回 世界のビール礼賛

女将のダンナは「惣菜管理士」というあまり知られていない資格を持っている、 ただのサラリーマン。とにかく大の料理好き!・・で、このお店を間借りさせて あげることにしました。 名づけて「ダンナの居場所・・居酒屋のおやじを夢見て」。 これからも色々な素材を取り上げていきますのでお立ち寄りください。*この記事は1998~2005年に書かれています


20才の頃に世界の缶ビール集めに凝った。鮮度が命だから中身は胃袋へ、空缶を集める。 輸入ビールは当時(15年前)珍しかったが、大きな段ボール5つ程になった。 缶のデザインや表示を見てはそのビールの歴史や産地の風土に思いを馳せた。 学生時代に通った銀座のビヤホール ピルゼン。ここではじめてピルスナーや黒ビールを飲んだ。 最初はおいしいとは思わなかったが、こんなビールが似合う大人になりたいと思って背伸びをした。 当然、まだ出会う前だが、同い年の女将も学生時代からピルゼンにはよく通っていたらしい。

◆ビールのうまさ◆

麦芽とホップ、水。原料は同じでも、風土・水の違い、ブルワリー(醸造所)の違い、ブルーワー(醸造士)の違いで、百様のビールができる。 うまいビールはグラスに注いだ時の泡立ちから違う。そして美しい色。グラスに鼻を近づけた時のアロマ。 モルトの香り、ホップの香り、そして、発酵がもたらす果実の様な香り。そして、口に含んだ時の感覚、口当たり。 最後に、口や鼻全体に感じる、コクやふくらみ、風味、バランス。 原料、製法、こうすればきっと理想的なビールができる・・ブルーワーの仮説とそれを形にできるかどうかの技術がモノを言う。 ビールの種類に応じて、飲む時の温度も管理したい。

◆ビールにあうつまみ◆

「この料理には、こういうビールがよく合う。」というのが必ずあると思う。 タイ料理には、シンハービールがやはり美味しい。 ドイツでビールを飲み歩いたが、通い詰めたのは、イタリア人が一人で切り盛りするピザハウスだった。 僕の嗜好としてはアイスバインやソーセージより、ピザやラビオリの方がドイツビールには合っている様に思えた。 日本のラガータイプのビールにあうつまみと、エールタイプのビールにあうつまみは違うのではないか。というのが最近の関心事だ。 この答えを得るためには、まずはビールそのものを知らなくてはならない。日本地ビール協会に入会して、アドバンストエバリュエイターの資格を得た。 日本各地の地ビールレストランのメニューを研究したり、アメリカの繁盛している地ビールレストランを訪ねて、片っ端から料理を頼んだりもした。 それでも未だにその答えは見つからない。

★★★ホントにおいしい・・「ビール」にあうあの料理★★★

絹さやは本当においしい野菜。緑を思わせる独特の風味と、しゃきしゃきの食感。油との相性も良い。油も、サラダ油、バター、オリーブ油、ごま油といろいろに合わせてみると、ガラッと表情が変り、あわせたいビールの種類も変ってしまう。エールでも良いが、よく冷えたピルスナーなどのラガータイプにうってつけの「絹さやとブラウンマッシュルームの炒め物」

●●●「絹さやとブラウンマッシュルームの炒め物」 ●●●
絹さやはすじを取り、冷水に放つ。加熱直前に水切り。 大きめにカットしたブラウンマシュルームと一緒に、 好みの油でシャッキっと炒めて、塩・こしょうで味付け。 温野菜のような感覚で、モリモリ食べる。


チーズといえばワインと考えがちだが、個性の強いこの両者をマッチングさせるのは意外と難しい。その点、ビールやウイスキーなら、あまり苦労なく、チーズとのハーモニーを楽しめる。 ビールの多くは食中酒だが、食前に飲みたいもの、食後のくつろぎに時間をかけ楽しむもの、デザートと 合わせたいものなど、数限りない。「カリカリベーコンの焼きカマンベール」なら、オードブルとしても、食後酒の軽いつまみとしてもピッタリ。イギリスのスタウトや、ベルギーのトラピストタイプを舐め舐めいかが?


●●● 「カリカリベーコンの焼きカマンベール」●●● 

カマンベールは横半分に輪切り、切り口を上に向けオーブンでアツアツに。 お皿に盛り、上からカリカリベーコンを散らして出来上がり。 好みでフレンチパセリなどのハーブの風味をプラスする。 野菜ステイックやグリッシーニ、ガーリックトーストをステイック状にカットしたやつなどでチーズをすくいながら 食べてもおいしい。オードブルなど時間が経ってから食べるならチーズは加熱せず、室温で2~3時間置くとクーリーミーで トロトロの状態になるので、この食べ方がうまい。



豆苗(とうみょう)という中国野菜を見かけることが多くなった。豆苗とはえんどう豆の若芽の部分。 しゃきしゃきとした食感が楽しく、個性的な風味を持っている。カルシウムや鉄分に富み栄養価も高い。 豆苗といえば我が家では決まってこの料理。「豆苗と豚肉の炒め」 簡単でおいしく、ビールがすすむ。 イギリスのペールエールや、ヴァイツェンなどのドイツスタイルのエールビールに適。

●●● 「豆苗と豚肉の炒め」●●●
豆苗はザク切り。豚うす切りは、塩・胡椒・酒(日本酒かウイスキー)でよくもみ、片栗粉・ 油を入れてさっと混ぜる。あわせ調味料は醤油2に対し、酒1(しょうこう酒でもよい)、砂糖1、 オイスターソース1の割合であわせておく。カンカンに熱した鍋に油をなじませ、一度温度を 落し、しょうがとにんにくの微塵切りを入れ油に香りを移したら強火にして、肉を炒める。 火が通ったら、豆苗、あわせ調味料を入れて、水とき片栗粉で仕上げる。 好みで、豆板醤をいれても良い。


旦那の居場所、今回は「世界のビール」のおいしさについてでした。 手に入れにくかった世界のビールも、今では豊富に飲めるようになりました。 何より嬉しいのは、94年4月の酒税法改正を受けて、日本国内に多くの地ビールのブロワリーが誕生し 質の高い様々なビールを楽しめるようになったことです。大きな投資、たゆまぬ研究を積み重ねていらっしゃる事業家の皆さんの努力に心から敬意を払い、地ビール産業の発展をお祈りします。 がしかし、赤ワインのように、にわかブームになって、お気に入りの銘柄が手に入らなくなるのもヤダから、あまり目立たないで~な んて無責任なことも考えたりするから、酒飲みという奴は不思議なものです。

(追記)世界のビールに興味がある方は、日本地ビール協会への入会、講習会の受講をお勧めします。一日の講習で30種類程度のビールをテイスティングしながら、五感をフルに使ってビールの素晴らしさに出会えます。
問い合わせ先 日本地ビール協会 TEL(0797)-31-6911 まで
参考書としては、日本の地ビール第一号、エチゴビール社長 上原誠一郎著「ビールを楽しむ」ちくま新書 を愛読しています。
98/7月

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